February 7, 2002 Vol. 346 No. 6
悪性神経膠腫の小児におけるp53 の発現と予後
Expression of p53 and Prognosis in Children with Malignant Gliomas
I.F. POLLACK AND OTHERS
臨床的および組織学的所見を考慮に入れても,悪性度の高い神経膠腫の小児の予後は不確かである.われわれは,高悪性度神経膠腫における TP53 遺伝子の変異と p53 蛋白の発現量が,この腫瘍の小児における無進展生存率と関連しているかどうかを検討した.
小児癌グループ研究 CCG-945 で治療された小児からの悪性神経膠腫のパラフィン包埋標本を,TP53 の変異解析(121 標本)と p53 の免疫組織化学的分析(115 標本)により評価した.変異解析のために,悪性神経膠腫を含む組織部分を顕微下で分離し,その DNA をポリメラーゼ連鎖反応法によって増幅し,TP53 のエキソン 5,6,7,8 の配列決定を行った.免疫組織化学的分析は,microwave-enhanced antigen retrieval 法と,自然型および変異型 p53 両方に結合する抗体を用いて行った.
p53 の過剰発現と転帰とのあいだに有意な関連があった;この関連は,組織学的特徴,年齢,性別,切除の程度,腫瘍の位置とは無関係であった.5 年後の無進展生存率(±SE)は,p53 の発現量が低い腫瘍患者 74 例の群では 44±6%であり,p53 を過剰発現している腫瘍患者 41 例の群では 17±6%であった(p<0.001).TP53 変異と転帰とのあいだには,有意な関連は認められなかった.
小児期における悪性神経膠腫での p53 の過剰発現は,臨床的予後因子や組織学的所見とは独立して,有害転帰と強く関連している.