The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

February 7, 2002 Vol. 346 No. 6

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

台湾におけるコレラスイス血清型サルモネラ菌 Salmonella enterica のフルオロキノロン耐性の出現
The Emergence in Taiwan of Fluoroquinolone Resistance in Salmonella enterica Serotype Choleraesuis

C.-H. CHIU AND OTHERS

背景

コレラスイス血清型 Salmonella enterica は,重篤な全身感染症の起因菌である.フルオロキノロンは,重症サルモネラ感染症の最善の治療薬であることから,フルオロキノロン耐性コレラスイス血清型 S. enterica の出現と播種は,臨床的に重大な意味をもっている.

方 法

台湾では,コレラスイス血清型 S. enterica 感染症の発生と分離株の抗菌薬感受性を監視するために,1987 年から病院を基盤とした監視システムが実施されてきた.われわれは 2000 年と 2001 年の,この血清型におけるフルオロキノロン耐性の急速な出現を調査した.この耐性サルモネラ菌の潜在的な感染源として,台湾のブタを評価した.

結 果

1987 年から 2000 年にかけて,コレラスイス血清型 S. enterica の臨床分離株全 501 株が,われわれの病院において得られた.全サルモネラ分離株に占めるコレラスイス血清型 S. enterica の割合は,1995 年以前の平均 8.4%から,1996~98 年の 2.7%へと減少した.1999~2000 年では,この割合は有意に増加し平均 5.0%になった.コレラスイス血清型 S. enterica におけるシプロフロキサシン耐性は 2000 年から観察されている.2001 年の第 3 四半期においては,分離株の 60%がシプロフロキサシン耐性であった.分子タイピングにより,コレラスイス血清型 S. enterica 分離株の主感染源はブタの群であることが示唆された.ヒトおよびブタから分離したすべての耐性株は,DNA ジャイレース A 遺伝子において,その 83 番目のセリンをフェニルアラニンに,87 番目のアスパラギン酸をアスパラギンに置換する変異をもっていた.

結 論

台湾におけるこの研究は,フルオロキノロン耐性コレラスイス血清型 S. enterica がブタからヒトに伝播しうることを示唆している.食用動物へのフルオロキノロンの使用は禁止すべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 413 - 9. )