卵細胞質内精子注入および体外受精後の重大な先天異常のリスク
The Risk of Major Birth Defects after Intracytoplasmic Sperm Injection and in Vitro Fertilization
M. HANSEN, J.J. KURINCZUK, C. BOWER, AND S. WEBB
卵細胞質内精子注入法または体外受精で受胎した児が,自然受胎した児よりも先天異常を有するリスクが高いかどうかは明らかにされていない.
西オーストラリアの 3 つの登録から,1993~97 年に出生した児の,出生,生殖補助医療による受胎後の出生,重大な先天異常に関するデータを取得した.自然受胎した児と,卵細胞質内精子注入法または体外受精により受胎した児における,1 歳までに診断された重大な先天異常の有病率を比較した.
1 歳までに診断された重大な先天異常は,卵細胞質内精子注入法で受胎した 301 例中 26 例(8.6%),体外受精で受胎した 837 例中 75 例(9.0%)が有しており,これに対して,自然受胎した児では 4,000 例中 168 例(4.2%)が有していた(2 種類の人工授精法と自然受胎との比較において,p<0.001).母親の年齢と経産,児の性別,同胞におけるリスクとの関係で調整後,1 歳までに診断される重大な先天異常の自然受胎と比較したオッズ比は,卵細胞質内精子注入では 2.0(95%信頼区間,1.3~3.2),体外受精では 2.0(95%信頼区間,1.5~2.9)であった.補助生殖医療技術を用いて受胎した児は,自然受胎した児に比べて,複数の重大な先天異常を有する確率が高く,染色体異常および筋骨格異常の確率が高かった.
卵細胞質内精子注入法または体外受精により受胎した児では,重大な先天異常を有するリスクが自然受胎した児の 2 倍である.