The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

March 14, 2002 Vol. 346 No. 11

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

アンジオテンシン変換酵素阻害薬に対する基準価格設定の結果
Outcomes of Reference Pricing for Angiotensin-Converting-Enzyme Inhibitors

S. SCHNEEWEISS AND OTHERS

背景

1997 年 1 月,65 歳以上の患者へのアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬に対する基準価格の設定がカナダのブリティッシュ・コロンビア州で導入された.特定階層内の投薬に対し,医療保険が基準価格まで費用を負担し,より高額な薬剤の余剰分は患者が自己負担する.基準価格設定は処方薬への出費を下げるであろうが,患者が薬効の低い薬剤に変更したり,治療を中止する可能性が懸念される.

方 法

われわれは,保健省から得たブリティッシュ・コロンビア州の全対象住民 37, 362 人のデータを解析した.対象は,65 歳以上で,州の医療保険プログラムに登録され,1996 年に 1 ヵ月につき 27 ドルの基準価格より高額の ACE 阻害薬を処方され,新制度により影響を受ける可能性のある者とした.われわれは,最初の 6 ヵ月に費用負担が不要な ACE 阻害薬に変更した住民 5,353 人を特定し,費用負担が必要な ACE 阻害薬のみを服用した住民 27, 938 人と比較した.

結 果

ACE 阻害薬に対する基準価格設定は,受診率,入院率,ケア施設への長期入所率,あるいは死亡率の変化とは関連しなかった.高血圧治療中止率は,制度改訂前より低下した(相対リスク,0.76;95%信頼区間,0.65~0.89).費用負担が必要な ACE 阻害薬を処方されていた患者の 18%は,より廉価な類薬に変更した.変更しなかった患者に比べて,変更した患者では,変更後 2 ヵ月以内の受診率(割合比,1.11;95%信頼区間,1.07~1.15)および救急処置室経由の入院率(割合比,1.19;95%信頼区間,0.99~1.42)に穏やかな一時的増加が認められたが,その後は認められなかった.

結 論

ACE 阻害薬に対する基準価格設定がブリティッシュ・コロンビア州に導入されて,患者が高血圧治療を中止したり,医療の利用や費用が増加したことを示す証拠はほとんどみられなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 822 - 9. )