March 14, 2002 Vol. 346 No. 11
メディケア受益者のための処方薬割引プログラムに対するカリフォルニア州の薬局の受け入れ状況
Compliance among Pharmacies in California with a Prescription-Drug Discount Program for Medicare Beneficiaries
J.H. LEWIS AND OTHERS
メディケア受益者のための処方薬割引プログラムが数州で開発されている.カリフォルニア州では,1999 年制定の州議会第 393 号法案で,州のメディケイド(低所得者医療補助制度)プログラム(Medi-Cal)に参加している薬局に対し,医療保険者証を提示する患者には Medi-Cal 価格に基づいて薬代を請求することを求めている.メディケア受益者が薬局で医療保険者証の提示に慣れていない可能性があるため,州議会第 393 号法案に対する薬局の受け入れ状況を評価した.
特別な訓練を受け,「標準的な患者」の役を果すメディケア受益者 15 名が,2001 年 4 月と 5 月にサンフランシスコ・ベイエリアとロサンゼルス郡の薬局を無作為抽出して訪れた.筋書きに従って,メディケア受益者らは,処方頻度の高い 3 種の薬,ロフェコキシブ,セルトラリン,アトルバスタチンの価格を尋ねた.筋書きは,患者と薬剤師または店員とのやり取りのあいだに第 393 号法案で規定された割引が行われたかどうか,またいつ行われたかがわかるようになっていた.適正割引を行った薬局を受け入れ状況がよいとした.
患者は薬局 494 店舗の訪問を完了した.75%の薬局は処方薬割引プログラムに従っていた;しかし,はっきりと要求される前に割引を行った薬局はわずか 45%にすぎなかった.割引の実施は,チェーン店の薬局では 91%,個人経営の薬局では 58%であった(p<0.001).受け入れ状況は,サンフランシスコ・ベイエリアのほうがロサンゼルス郡よりも高く(84% 対 72%,p=0.004),高所得者区域の方が低所得者区域よりも高かった(81% 対 69%,p=0.002).これら 3 種の薬剤を全部服用しているメディケア受益者は,小売り価格に比べて,月額で平均 55.70 ドル節約できたであろう(20%の節約).
メディケア受益者のためのカリフォルニア州の処方薬割引プログラムに基づいて求められた割引は,相当な節約になる.しかし,多くの患者,とくに個人経営の薬局を利用する患者や低所得者区域に暮らす患者は,割引を受けない可能性がある.