October 3, 2002 Vol. 347 No. 14
身体虚弱な在宅高齢者における機能低下予防プログラム
A Program to Prevent Functional Decline in Physically Frail, Elderly Persons Who Live at Home
T.M. GILL AND OTHERS
身体虚弱な高齢者の機能低下は,多くの病的状態と関連している.このような機能低下が予防できるかどうかは明らかにされていない.
75 歳以上の身体虚弱な在宅高齢者 188 例を,主に平衡感覚,筋力,ある姿勢から次の姿勢に移る能力および運動能などの基礎的な身体能力における障害を改善することに重点をおいた,理学療法を伴う 6 ヵ月間の自宅ベースの介入プログラムと,教育的プログラム(対照群)に無作為に割付けた.主要転帰は,プログラム実施前と実施 3,7,12 ヵ月後のあいだの,8 つの日常生活動作(歩行,入浴,上半身および下半身の着衣,椅子から立ち上がる,排泄,食事,身繕い)に基づく障害尺度の得点の変化とした.尺度の得点範囲は 0~16 であり,得点が高いほど障害が重いことを示す.
障害得点によれば,介入群の参加者は,対照群の参加者に比べて経時的な機能低下が少なかった.介入群と対照群の障害得点は,プログラム実施前はそれぞれ 2.3 および 2.8,7 ヵ月後はそれぞれ 2.0 および 3.6(実施前からの変化の群間比較,P=0.008),12 ヵ月後は 2.7 および 4.2 であった(P=0.02).介入の有益性は,中等度に虚弱な参加者には認められたが,重度に虚弱な参加者には認められなかった.ナーシングホームへの入所頻度には,介入群と対照群のあいだに有意な差は認められなかった(それぞれ 14%および 19%;P=0.37).
基礎的な身体能力の障害を対象とした自宅ベースのプログラムは,身体虚弱な在宅高齢者の機能低下を軽減できる.