The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

November 14, 2002 Vol. 347 No. 20

無症候性細菌尿のある糖尿病の女性に対する抗菌剤治療
Antimicrobial Treatment in Diabetic Women with Asymptomatic Bacteriuria

G.K.M. HARDING, G.G. ZHANEL, L.E. NICOLLE, AND M. CHEANG

背景

糖尿病の女性では,無症候性細菌尿がよくみられる.このような感染の治療は,症候性の尿路感染症に関連した合併症を予防するために推奨されている.

方 法

細菌尿(連続した尿標本 2 検体の 1 mL 当りコロニー形成単位 105 以上の微生物)があり,泌尿器症状のない糖尿病の女性.(年齢>16 歳)を試験に組み入れた;このうち 50 例をプラセボ投与,55 例を抗菌剤治療に無作為に割付けた.治療の最初のコースを行ったはじめの 6 週間は,プラセボ対照二重盲検試験とした.その後,最長 3 年間にわたり3 ヵ月ごとに女性の細菌尿の検査を行った;無症候性細菌尿を有する抗菌剤治療群の女性には,抗菌剤治療を行った.

結 果

治療の最初のコース終了 4 週間後には,プラセボ投与群の 78%に細菌尿があり,これに対して抗菌剤投与群の 20%に細菌尿があった(P<0.001).平均追跡調査期間 27 ヵ月中に,プラセボ群の 50 例中 20 例(40%)と抗菌剤治療群の 55 例中 23 例(42%)が,症候性尿路感染のエピソードを 1 回以上経験した.1 回目の症候性エピソードまでの時間は,プラセボ群と抗菌剤治療群でほぼ同じであり(log-rank 検定で P=0.67),すべての症候性尿路感染発生率(±SD)(追跡調査期間 1,000 日当りそれぞれ 1.10±0.17 および 0.93±0.14;相対リスク 1.19;95%信頼区間 0.28~1.81),腎盂腎炎発生率(追跡調査期間 1,000 日当りそれぞれ 0.28±0.08 および 0.13±0.05;相対リスク 2.13;95%信頼区間 0.81~5.62),尿路感染による入院率(追跡調査期間 1,000 日当りそれぞれ 0.10±0.36 および 0.06±0.22;相対リスク 1.93;95%信頼区間 0.47~7.89)も両群でほぼ同じであった.抗菌剤治療群の女性はプラセボ群の女性に比べて,尿路感染に対する抗生物質の使用日数がほぼ 5 倍であった(追跡調査期間 1,000 日当り 158.2±1.7 対 33.7±0.91;相対リスク 0.21;95%信頼区間 0.20~0.22).

結 論

糖尿病女性における無症候性細菌尿の治療は,合併症を減少させるとは考えられない.糖尿病そのものを,無症候性細菌尿の検査や治療の適応症とすべきではない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 1576 - 83. )