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November 14, 2002 Vol. 347 No. 20

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サイクリン E と乳癌患者の生存率
Cyclin E and Survival in Patients with Breast Cancer

K. KEYOMARSI AND OTHERS

背景

細胞周期の調節因子であるサイクリン E は,乳癌細胞の挙動に影響を与える.われわれは,腫瘍中のサイクリン E の発現レベルが乳癌患者における生存率と相関するかどうかについて検討した.

方 法

乳癌患者 395 例から採取した腫瘍組織について,ウエスタンブロット法を用いてサイクリン E,サイクリン D1,サイクリン D3 および HER-2/neu 癌遺伝子の有無を分析した.全長,低分子および全サイクリン E を測定した.サイクリン E の免疫組織化学的評価も,腫瘍 256 例について行った.これら分子マーカーの濃度と疾患特異的生存率・全生存率とのあいだの相関を調べた.

結 果

追跡期間の中央値は 6.4 年であった.ウエスタンブロット法で検出したサイクリン E の低分子アイソフォーム高発現は,腋窩リンパ節転移の有無にかかわらず,疾患特異的生存率と強く相関していた(P<0.001).病期 I 期の乳癌患者 114 例のうち,腫瘍中のサイクリン E が低濃度の患者 102 例では,診断 5 年後までに乳癌で死亡した例はなかったが,低分子サイクリン E が高濃度の患者 12 例は全例が同期間内に乳癌で死亡していた.多変量解析において,全サイクリン E 濃度の高値または低分子サイクリン E 濃度の高値は,不良な転帰と有意に相関していた.全サイクリン E 濃度が高い患者における乳癌死のハザード比は全サイクリン E 濃度が低い患者と比べると,13.3 であった ―― これは,他の独立した臨床的および病理学的危険因子に関連した乳癌死のハザード比の約 8 倍であった.

結 論

ウエスタンブロット法で測定した,腫瘍組織における全サイクリン E 濃度および低分子サイクリン E 濃度は,乳癌患者での生存率と強く相関している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 1566 - 75. )