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July 4, 2002 Vol. 347 No. 1

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血栓性素因の多型と子宮内発育抑制との関連性の欠如
Absence of Association of Thrombophilia Polymorphisms with Intrauterine Growth Restriction

C. INFANTE-RIVARD AND OTHERS

背景

これまでのデータから,妊婦における血栓性素因の多型とその子供における子宮内発育抑制のリスク上昇との関連性が示されているが,その知見はいまだ確かではない.

方 法

われわれは,子宮内発育抑制(カナダの標準値に基づく在胎齢と性別での,10 パーセンタイル未満の出生体重と定義)の新生児 493 例と対照の新生児 472 例(10 パーセンタイル以上の出生体重)を組み入れた病院ベースの症例対照研究,および家族を対象とする研究を実施した.われわれは,新生児およびその両親におけるメチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)C677T と A1298C,第 V 因子 Leiden G1691A およびプロトロンビン G20210A の多型の有無を検討した.子宮内発育抑制に関する他の危険因子の情報を収集するため,母親を問診した.

結 果

子宮内発育抑制のリスクは,血栓性素因に関連した多型を有する母親では増加しなかった.症例対照研究では,新生児の遺伝子型と他の危険因子を補正したあと,変異体の 2 コピーに関係するオッズ比は MTHFR C677T で 1.55(95%信頼区間 0.83~2.90),MTHFR A1298C では 0.49(95%信頼区間 0.25~0.93)であった.また,第 V 因子 Leiden のヘテロ接合体では,オッズ比は 1.18(95%信頼区間 0.54~2.55)であり,プロトロンビン G20210A のヘテロ接合体では,オッズ比は 0.92(95%信頼区間 0.36~2.35)であった.新生児におけるこれらの多型は,リスクの増加とは関連していなかった.MTHFR C677T 変異体でホモ接合的であった新生児では,子宮内発育抑制のリスクは低かった(母親の遺伝子型と他の交絡因子の補正後のオッズ比,0.52[95%信頼区間 0.29~0.94]).家族を基準とした研究の結果は,症例対照研究の結果を支持した.

結 論

われわれの知見では,血栓性素因に関連した母親または新生児の多型と子宮内発育抑制のリスク増加とのあいだに関連性があることを示していない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 19 - 25. )