December 26, 2002 Vol. 347 No. 26
関節炎患者における再発性潰瘍出血のリスクを減少させるためのセレコキシブ療法とジクロフェナク+オメプラゾール併用療法の比較
Celecoxib versus Diclofenac and Omeprazole in Reducing the Risk of Recurrent Ulcer Bleeding in Patients with Arthritis
F.K.L. CHAN AND OTHERS
現在のガイドラインは,関節炎の治療が必要で,潰瘍疾患のリスクを有する患者には,シクロオキシゲナーゼ-2 に選択的な非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の投与,あるいは非選択的 NSAID とプロトンポンプ阻害薬の併用投与を推奨している.われわれは,出血のリスクが高い患者において,セレコキシブが,ジクロフェナク+オメプラゾールの併用と同程度に再発性潰瘍出血のリスクを減少させるかどうかを評価した.
関節炎に対し NSAID を使用し,潰瘍出血で受診した患者を調査した.潰瘍治癒後,Helicobacter pylori に陰性を示した患者を,1 日 2 回のセレコキシブ 200 mg+毎日のプラセボの併用投与,あるいは 1 日 2 回のジクロフェナク 75 mg+毎日のオメプラゾール 20 mg の併用投与のいずれかに 6 ヵ月間無作為に割付けた.エンドポイントは,出血性潰瘍の再発であった.
患者 287 例(セレコキシブ群 144 例,ジクロフェナク+オメプラゾール併用群 143 例)での intention-to-treat 解析で,再発性潰瘍出血は,セレコキシブ群の患者 7 例およびジクロフェナク+オメプラゾール併用群の患者 9 例に発現した.6 ヵ月間の再発性出血の確率は,セレコキシブ群患者では 4.9%(95%信頼区間 3.1~6.7),ジクロフェナク+オメプラゾール併用群患者では 6.4%(95%信頼区間 4.3~8.4)であった(差 -1.5 パーセントポイント;差に対する 95%信頼区間 -6.8~3.8).高血圧,末梢性浮腫,腎不全を含む腎臓に関連した有害事象は,セレコキシブ群患者の 24.3%およびジクロフェナク+オメプラゾール併用群患者の 30.8%に発現した.
潰瘍出血の最近の既往がある患者では,セレコキシブ療法は,再発性出血の予防に関して,ジクロフェナク+オメプラゾール併用療法と同程度有効であった.セレコキシブ療法またはジクロフェナク+オメプラゾール併用療法を受ける高リスク患者では,腎臓に対する毒性作用の頻度が高い.