The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

December 26, 2002 Vol. 347 No. 26

アルカプトン尿症の自然経過
Natural History of Alkaptonuria

C. PHORNPHUTKUL AND OTHERS

背景

HGO 遺伝子の変異やホモゲンチジン酸 1,2-ジオキシゲナーゼ欠損によって引き起されるアルカプトン尿症により,ホモゲンチジン酸(HGA)の蓄積や組織褐変症,結合組織の破壊が生じる.nitisinone は HGA を産生する酵素を阻害するが,この疾患に対する効果的な治療法はない.われわれは,アルカプトン尿症の自然経過を明らかにするための研究を実施した.

方 法

アルカプトン尿症患者 58 例(年齢範囲 4~80 歳)を臨床所見,X 線検査,生化学的および分子生物学的手法を用いて評価した.脊髄および関節損傷の重症度を評価するために,X 線像のスコア法を考案した.患者 2 例を,nitisinone によりそれぞれ 10 日間および 9 日間治療した.

結 果

生命表解析から,関節置換は平均年齢 55 歳で実施され,腎結石は 64 歳,心臓弁病変は 54 歳,冠動脈の石灰化は 59 歳で発生することが明らかになった.線形回帰分析から,疾患の重症度に関する X 線像のスコアは 30 歳を過ぎて上昇を始め,この上昇は女性よりも男性においてより急速であることが示唆された.23 の新たな HGO 変異が同定された.51 歳の女性の例では,10 日間の nitisinone 投与後(7 日間は 0.7 mg/日の用量,3 日間は 2.8 mg/日の用量),尿中 HGA 排泄が 1 日当り 2.9 g から 0.13 g へと減少した.59 歳の女性の例では,9 日間の nitisinone 治療後(0.7 mg/日),尿中 HGA 排泄が 1 日当り 6.4 g から 1.7 g へと減少した.これらの患者における血漿チロシン濃度は,両患者ともにおよそ 1.1 mg/dL(60 μmol/L)から,それぞれおよそ 12.8 mg/dL(700 μmol/L)と 23.6 mg /dL(1,300 μmol/L)に上昇し,臨床徴候や症状はみられなかった.

結 論

アルカプトン尿症の自然経過に関して報告したデータは,長期的治療の評価に関する基礎を提供している.nitisinone は,ホモゲンチジン酸 1,2-ジオキシゲナーゼ欠損者における HGA 産生を減少させることができるが,この治療の長期的安全性と有効性についてはさらに評価する必要がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 2111 - 21. )