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August 1, 2002 Vol. 347 No. 5

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深刻な行動障害のある自閉症児に対するリスペリドン
Risperidone in Children with Autism and Serious Behavioral Problems

RESEARCH UNITS ON PEDIATRIC PSYCHOPHARMACOLOGY AUTISM NETWORK

背景

非定型抗精神病薬は,シナプス後のドパミン受容体とセロトニン受容体を遮断するが,統合失調症成人患者の治療において,従来の抗精神病薬よりも利点があり,深刻な行動障害のある自閉症障害児にも有益である可能性がある.しかし,小児における非定型抗精神病薬の安全性と有効性に関しては,十分なデータはない.

方 法

激しい癇癪,攻撃あるいは自傷行為を伴う 5~17 歳の自閉症障害児の治療において,リスペリドンとプラセボを比較する多施設無作為二重盲検試験を実施した.主要転帰指標は,8 週間後の異常行動チェックリスト(Aberrant Behavior Checklist)における被刺激性下位尺度のスコアと臨床的総合印象による改善度(Clinical Global Impressions-Improvement : CGI-I)判定スケールによる評価であった.

結 果

合計 101 例の小児(男児 82 例と女児 19 例;平均(±SD)年齢 8.8±2.7 歳)を,リスペリドン投与(49 例)またはプラセボ投与(52 例)に無作為に割付けた.8 週間のリスペリドン投与(用量範囲 0.5~3.5 mg /日)により被刺激性スコアが 56.9%減少し,これに対しプラセボ群では 14.1%減少した(P<0.001).プラス反応は,被刺激性スコアにおける減少が少なくとも 25%であることおよび CGI-I 判定スケールで大幅な改善あるいはさらに大きな改善との判定と定義したが,この割合は,リスペリドン群では 69%(49 例中 34 例がプラス反応を示した),プラセボ群では 12%(52 例中 6 例)であった(P<0.001).リスペリドン療法は,平均 2.7±2.9 kg の体重増加を伴い,これに対してプラセボ群では平均 0.8±2.2 kg であった(P<0.001).食欲亢進,疲労,傾眠,眩暈および流涎は,プラセボ群よりもリスペリドン群で多かった(各比較で P<0.05).8 週間後にリスペリドンに対してプラス反応を示した小児の 2/3(34 例中 23 例)では,このプラス効果は 6 ヵ月後も持続していた.

結 論

リスペリドンは,自閉症障害児における癇癪,攻撃,自傷行為の治療に有効で忍容性が高かった.この試験は短期間であることから,遅発性ジスキネジアのような有害作用について推論するには限界がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 314 - 21. )