The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

August 15, 2002 Vol. 347 No. 7

腎移植レシピエントにおけるBK 型ポリオーマウイルスの複製と腎症に関する前向き研究
Prospective Study of Polyomavirus Type BK Replication and Nephropathy in Renal - Transplant Recipients

H.H. HIRSCH AND OTHERS

背景

BK 型ポリオーマウイルス(BKV)腎症に関連する腎症は,タクロリムスやミコフェノール酸モフェチルを用いた免疫抑制療法に関連した同種移植片不全の原因として浮かび上ってきている.“おとり細胞”として知られるウイルス封入体が尿中に存在することや,血漿中に BKV DNA が存在することが,BKV の複製および関連腎症のマーカーであると提唱されてきたが,前向き研究のデータは欠如している.

方 法

前向き単一施設研究において,タクロリムス(患者 37 例)やミコフェノール酸モフェチル(患者 41 例)を用いた免疫抑制療法を受けている腎移植レシピエント 78 例を追跡調査した.定期的な来院のさいに,おとり細胞の存在を調べるために尿を検査した.移植後 3,6,12 ヵ月後およびおとり細胞が認められた場合に,BKV DNA を測定した.血漿中のウイルス負荷は,リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応法を用いて定量した.腎生検は,同種移植片の機能が悪化した場合に実施した.

結 果

移植後,患者 23 例に中央値 16 週(幅 2~69)でおとり細胞の出現がみられた.患者 10 例では中央値 23 週(幅 4~73)で BKV ウイルス血症がみられ,5 例では中央値 28 週(幅 8~86)で BKV 腎症がみられた.おとり細胞の出現や,ウイルス血症および腎症の確率に関する Kaplan-Meier 分析による推定値は,それぞれ 30%(95%信頼区間 20~40%),13%(95%信頼区間 5~21%),8%(95%信頼区間 1~15%)であった.とくにコルチコステロイドを用いた拒絶反応抑制療法は,BKV の複製や腎症と関連していた.血漿中のウイルス負荷は,腎症のない患者よりも BKV 腎症の患者においてより高かった(Mann-Whitney 検定により P<0.001).BKV 腎症患者の 5 例中 4 例を含め,患者 78 例のうちの 77%に,移植前に BKV 抗体が検出された.

結 論

腎移植レシピエントにおける BKV 腎症は,ほとんどの症例において拒絶反応とその治療に関連した二次感染を意味し,血漿中のウイルス負荷を測定することによってモニターしうる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 488 - 96. )