August 22, 2002 Vol. 347 No. 8
根治的乳房切除,乳房全摘,および放射線照射を伴用の乳房全摘を比較する無作為試験の 25 年追跡調査
Twenty-Five-Year Follow-up of a Randomized Trial Comparing Radical Mastectomy, Total Mastectomy, and Total Mastectomy Followed by Irradiation
B. FISHER AND OTHERS
乳癌の女性に関して,より狭い範囲の手術と比較した根治的乳房切除の役割が,論争事項となっている.われわれは,放射線療法を伴用するまたは伴用しない,より狭い範囲の手術がハルステッドの根治的乳房切除と同様に有効であるかどうかを判断するため 1971 年に開始された無作為試験の 25 年目の知見を報告する.
腋窩リンパ節転移が臨床的に陰性である女性計 1,079 例が,根治的乳房切除,腋窩郭清を行わず術後放射線照射を行う乳房全摘,またはリンパ節が陽性となった場合のみ腋窩郭清を行う乳房全摘を受けた.腋窩リンパ節転移が臨床的に陽性である女性計 586 例は,根治的乳房切除,または腋窩郭清を行わず術後放射線照射を行う乳房全摘を受けた.転帰について Kaplan-Meier 分析および累積発生率の推定値を得た.
無病生存率,無再発生存率,無遠隔病変生存率,全生存率に関して,リンパ節転移が陰性であった女性 3 群間あるいはリンパ節転移が陽性であった女性 2 群間には有意差は認められなかった.リンパ節が陰性であった女性では,根治的乳房切除を受けた女性と比較した,乳房全摘と放射線照射を受けた女性の死亡のハザード比は 1.08(95%信頼区間 0.91~1.28;P=0.38)であり,根治的乳房切除を受けた女性と比較した,放射線照射なしに乳房全摘を受けた女性の死亡のハザード比は 1.03(95%信頼区間 0.87~1.23;P=0.72)であった.リンパ節が陽性であった女性では,根治的乳房切除を受けた女性と比較した,乳房全摘と放射線照射を受けた女性の死亡のハザード比は 1.06(95%信頼区間 0.89~1.27;P=0.49)であった.
この知見は,根治的乳房切除には利点がないことを示すこれまでの結果を立証している.数パーセントの差は無視できないが,この知見は,1 回目の手術時における不顕性陽性リンパ節郭清や放射線療法に,生存に関する有意な利点があることを示していない.
(B. Fisher and others)