September 12, 2002 Vol. 347 No. 11
早期前立腺癌における根治的前立腺切除術と経過観察とを比較した無作為試験
A Randomized Trial Comparing Radical Prostatectomy with Watchful Waiting in Early Prostate Cancer
L. HOLMBERG AND OTHERS
根治的前立腺切除術は,早期前立腺癌の治療に広く用いられている.しかし,この治療の生存に関する利益については明らかではない.そこで,われわれはこの問題に取り組むため無作為試験を実施した.
1989 年 10 月~1999 年 2 月に国際対癌連合(International Union against Cancer)の臨床ステージが T1b,T1c あるいは T2 の新たに前立腺癌と診断された男性 695 例を,経過観察または根治的前立腺切除術に無作為に割付けた.2000 年まで徹底した追跡調査を完遂し,死因の評価は盲検で実施した.主要エンドポイントは前立腺癌による死亡で,副次的エンドポイントは全死因死亡率,転移のない生存,および局所での進行であった.
中央値 6.2 年の追跡期間に経過観察群の男性 62 例と根治的前立腺切除術群の 53 例が死亡した(P=0.31).前立腺癌により死亡したのは,経過観察群では 348 例中 31 例(8.9%),根治的前立腺切除術群では 347 例中 16 例(4.6%)であった(相対ハザード 0.50;95%信頼区間 0.27~0.91;P=0.02).ほかの原因で死亡したのは,経過観察群では 348 例中 31 例(8.9%)で,根治的前立腺切除術群では 347 例中 37 例(10.6%)であった.根治的前立腺切除術群のほうが経過観察群よりも遠隔転移の相対リスクが低かった(相対ハザード 0.63;95%信頼区間 0.41~0.96).
この無作為試験では,根治的前立腺切除術は疾患特異的な死亡率を有意に減少させたが,全体の生存率に関しては外科手術と経過観察とのあいだに有意な差はみられなかった.