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September 19, 2002 Vol. 347 No. 12

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失神の発生率と予後
Incidence and Prognosis of Syncope

E.S. SOTERIADES AND OTHERS

背景

一般住民における失神の疫学と予後についてはほとんど知られていない.

方 法

1971~98 年にフラミンガム心臓研究(Framingham Heart Study)に参加した,女性と男性における失神の発生率,特定の原因,および予後について検討した.

結 果

平均 17 年追跡した研究参加者 7,814 人中,822 人が失神を報告した.失神の第一報告の発生率は,1,000 人-年当り 6.2 であった.同定された原因のうちもっとも頻度が高かったのは,血管迷走神経性(21.2%),心臓性(9.5%)および起立性(9.4%)の失神であり,36.6%については原因不明であった.あらゆる原因から失神を発現した参加者における多変量補正ハザード比は,失神を発現しなかった参加者と比べると,全死因死亡では 1.31(95%信頼区間 1.14~1.51),心筋梗塞または冠動脈心疾患による死亡では 1.27(95%信頼区間 0.99~1.64),致命的あるいは致命的ではない脳卒中では 1.06(95%信頼区間 0.77~1.45)であった.心臓性失神のあった参加者のそれぞれに対応したハザード比は,2.01(95%信頼区間 1.48~2.73),2.66(95%信頼区間 1.69~4.19),2.01(95%信頼区間 1.06~3.80)であった.原因不明の失神のあった参加者と神経性失神のあった参加者では,全死因死亡のリスクが高く,多変量補正ハザード比はそれぞれ 1.32(95%信頼区間 1.09~1.60),1.54(95%信頼区間 1.12~2.12)であった.血管迷走神経性(起立性および薬剤関連性を含む)失神に関連した心血管罹患率や死亡率のリスクは増加しなかった.

結 論

心臓性失神のあった参加者は,全死因や心血管イベントによる死亡のリスクが高く,原因不明の失神のあった人は全死因死亡リスクが高い.血管迷走神経性失神は,予後良好と思われる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 878 - 85. )