The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

March 13, 2003 Vol. 348 No. 11

カルチノイド心疾患の進行に関連する因子
Factors Associated with Progression of Carcinoid Heart Disease

J.E. Moller and Others

背景

血管作動性物質を血液中に放出することによって,カルチノイド腫瘍は,右心系の心臓弁膜症の原因となりうる.カルチノイド心疾患の進行に関連する因子についてはほとんどわかっていない.われわれは,そのような因子を同定するために後ろ向き研究を実施した.

方 法

対象者には,1 年以上の間隔で繰り返し心エコー検査を受けたカルチノイド症候群患者 71 例,初回の心エコー検査による評価後に直接外科手術を受けるよう紹介された患者 32 例が含まれていた.カルチノイド心疾患のスコアは,弁の解剖と機能および右室機能の評価に基づいて決定した.研究中にスコアが 25%を超えて上昇した場合,疾患の進行を示唆するものと考えた.腫瘍の進行は,腹部コンピュータ断層撮影スキャンと尿中に含まれるセロトニン代謝産物,5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)値の変化に基づいて評価した.

結 果

繰り返し心エコー検査を受けた患者のうち,25 例(35%)で心臓スコアが 25%を超えて上昇した.スコアの変化が 25%以下の患者と比較して,これらの患者は尿中 5-HIAA の最高値が高く(中央値 265 mg/日[四分位範囲 209~593]対 189 mg/日[四分位範囲 75~286];P=0.004),生化学的に進行している可能性が高く(25 例中 10 例 対 46 例中 9 例,P=0.05),化学療法を受けていた可能性も高かった(25 例中 13 例 対 46 例中 10 例,P=0.009).ロジスティック回帰分析から,尿中 5-HIAA の最高値がより高いことと化学療法を受けたことがあることは,25%を超える心臓スコアの上昇を予測する因子であることが示された(5-HIAA の 25 mg/日増加ごとのオッズ比 1.08[95%信頼区間 1.03~1.13];P=0.009:化学療法と関連したオッズ比 3.65[95%信頼区間 1.74~7.48];P=0.001).

結 論

セロトニンはカルチノイド心疾患の進行と関連しており,進行性心疾患のリスクは,化学療法を受けていない患者よりも化学療法を受けている患者のほうが高い.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 1005 - 15. )