造血幹細胞による救済を伴う多発性骨髄腫に対する大量化学療法
High-Dose Chemotherapy with Hematopoietic Stem-Cell Rescue for Multiple Myeloma
J.A. Child and Others
支持療法として自家幹細胞移植を併用する大量療法は,悪性腫瘍に対しては依然として異論のある治療法である.多発性骨髄腫において,大量療法を組み込んだ第一選択レジメンでは常用量による治療よりも高い寛解率が得られるが,それが生存率の改善につながることを示した証拠は限られている.
この多施設共同試験,Medical Research Council Myeloma VII Trial では,65 歳未満の治療経験のない多発性骨髄腫患者 407 例を,標準的な常用量での併用化学療法あるいは大量療法+自家幹細胞移植に無作為に割付けた.
評価することのできた患者 401 例において,完全寛解率は強化療法群で標準療法群よりも高かった(44% 対 8%,P<0.001).部分寛解率は同程度であり(それぞれ 42%と 40%,P=0.72),最小反応率は強化療法群で標準療法群よりも低かった(3% 対 18%,P<0.001).Intention-to-treat 解析から,標準療法群よりも強化療法群で全生存率がより高く(log-rank 検定で P=0.04),無進行生存率がより高い(P<0.001)ことが示された.標準療法と比較して,強化療法は生存期間の中央値をほぼ 1 年延長した(54.1 ヵ月[95%信頼区間 44.9~65.2]対 42.3 ヵ月[95%信頼区間 33.1~51.6]).β2-ミクログロブリンの高値(8 mg/L 以上)と定義した予後不良の患者群において,より優れた延命効果を示す傾向にあった.
自家幹細胞による救済を伴う大量療法は,65 歳未満の多発性骨髄腫患者にとって効果的な第一選択治療法である.