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March 6, 2003 Vol. 348 No. 10

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経腟分娩または帝王切開後の尿失禁
Urinary Incontinence after Vaginal Delivery or Cesarean Section

G. Rortveit, A.K. Daltveit, Y.S. Hannestad,and S. Hunskaar

背景

帝王切開経産婦は未産婦と比較して尿失禁リスクが高いのか,また経腟分娩経産婦ではリスクがさらに高くなるのかどうかは明らかではない.

方 法

地域住民コホートを対象とした「Nord-Trondelag 県における失禁の疫学(Epidemiology of Incontinence in the County of Nord-Trondelag: EPINCONT)」研究に登録された 15,307 例の女性について調査を行った.この研究のデータベースを,「ノルウェー医学的出産登録(Medical Birth Registry of Norway)」のデータとリンクさせた.尿失禁に関連する質問に回答した 65 歳未満の女性で,未産あるいは帝王切開・経腟分娩のどちらかのみを経験した女性を研究対象とした.

結 果

尿失禁の有病率は未産婦群で 10.1%,年齢調整有病率は帝王切開群で 15.9%,経腟分娩群で 21.0%であった.それぞれの群について,中等度または重度の尿失禁有病率は 3.7%,6.2%,8.7%,腹圧性尿失禁の有病率は 4.7%,6.9%,12.2%,切迫性尿失禁の有病率は 1.6%,2.2%,1.8%,混合型尿失禁の有病率は 3.1%,5.3%,6.1%であった.未産婦に対し,帝王切開経産婦のいずれかの尿失禁に対する補正オッズ比は 1.5(95%信頼区間 1.2~1.9)であり,中等度か重度尿失禁に対する補正オッズ比は 1.4(95%信頼区間 1.0~2.1)であった.腹圧性と混合型尿失禁のみが帝王切開に有意に関連していた.普通分娩に関連するすべての尿失禁に対する補正オッズ比は,帝王切開に比べて 1.7(95%信頼区間 1.3~2.1)であり,中等度もしくは重度尿失禁に対する補正オッズ比は 2.2(95%信頼区間 1.5~3.1)であった.腹圧性尿失禁のみ(補正オッズ比 2.4;95%信頼区間 1.7~3.2)が分娩法に関連していた.

結 論

尿失禁リスクは,未産婦よりも帝王切開経産婦のほうが高く,経腟分娩経産婦はさらに高い.しかし,帝王切開実施の増加を正当化するためにこれらの知見を用いるべきではない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 900 - 7. )