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October 9, 2003 Vol. 349 No. 15

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CFTR 停止変異を有する嚢胞性線維症患者におけるゲンタマイシンにより誘導される CFTR 機能の修正
Gentamicin-Induced Correction of CFTR Function in Patients with Cystic Fibrosis and CTFR Stop Mutations

M. Wilschanski and Others

背景

早期終止シグナルを含む嚢胞性線維症膜通過伝導制御(cystic fibrosis trans-membrane conductance regulator; CFTR)遺伝子の突然変異は,機能的なクロライドチャネル活性の不足や欠損の原因となる.アミノグリコシド系抗菌薬は,早期終止コドンを抑制することができ,それにより,転写の正常な終点まで翻訳を続けさせることができる.われわれは,嚢胞性線維症患者の鼻上皮にゲンタマイシンを局所投与することで,機能的な CFTR チャネルの発現が引き起せるかどうかを評価した.

方 法

二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験において,CFTR に停止変異を有する患者およびΔF508 変異がホモ接合性である患者を対象に,ゲンタマイシン(0.3%,すなわち1 mL 当り 3 mg)を含む薬剤 2 滴またはプラセボを,各鼻孔に 1 日 3 回 14 日間,2 期間連続して投与した.ベースラインと各投与期間後に鼻の電位差を測定した.停止変異を有する患者からゲンタマイシン投与前後に鼻上皮細胞を採取し,細胞表面の CFTR の C 末端を染色した.

結 果

ゲンタマイシンの投与により,停止変異を有する患者 19 例において,基本電位差が有意に減少し(-45±8 mV から-34±11 mV へ,P=0.005),塩化物を含まないイソプロテレノール溶液に対する有意な反応が認められた(0±3.6 mV から-5±2.7 mV へ,P<0.001).ゲンタマイシンの鼻電位差に対するこの効果は,停止変異がホモ接合性である患者とヘテロ接合性である患者のいずれにおいても認められたが,ΔF508 がホモ接合性の患者では認められなかった.ゲンタマイシン投与後,停止変異を有する患者の鼻上皮細胞において,周辺と表面の CFTR 染色に有意な増加が認められた.

結 論

早期終止コドンを有する嚢胞性線維症患者において,ゲンタマイシンは翻訳の「読み通し(read-through)」をもたらし,その結果,頂端側細胞膜に完全長の CFTR 蛋白が発現する.したがってゲンタマイシンは,CFTR の機能不全によって引き起される典型的な電気生理学的異常を修正することができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 1433 - 41. )