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October 30, 2003 Vol. 349 No. 18

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人工膝関節全置換術後の静脈血栓塞栓症予防に関するキシメラガトランとワルファリンとの比較
Comparison of Ximelagatran with Warfarin for the Prevention of Venous Thromboembolism after Total Knee Replacement

C.W. Francis and Others

背景

人工膝関節全置換術後の静脈血栓塞栓症予防に関する先行研究において,凝固モニタリングや用量調節を必要としない直接的トロンビン阻害薬キシメラガトラン(ximelagatran)の経口投与の有効性は,24 mg を 1 日 2 回投与した場合ワルファリンと同等であることが明らかにされた.今回の研究目的は,より高用量のキシメラガトランがワルファリンより優れているかどうかを明らかにすることであった.

方 法

この無作為二重盲検試験では,経口キシメラガトラン 24 mg または 36 mg を 1 日 2 回,手術日の翌朝から開始する療法と,手術当日の夜から始めるワルファリン療法を,7~12 日の投与期間で比較した.静脈血栓塞栓症と全死因死亡の複合エンドポイントおよび出血の発生率を,主要転帰評価項目とした.

結 果

有効性解析の対象とした患者 1,851 例において,経口キシメラガトラン 36 mg の1 日 2 回の投与は,静脈血栓塞栓症と全死因死亡の主要複合エンドポイントに関し,ワルファリンよりも優れていた(20.3% 対 27.6%;P=0.003).重大な出血(発生率 0.8% 対 0.7%),周術期出血の指標,手術創の特徴に関して,両群間に有意差は認められなかった.近位深部静脈血栓症,肺塞栓症,死亡の組合せから成る副次的エンドポイントに関しても,両群間に有意差は認められなかった(2.7% 対 4.1%;P=0.17).

結 論

静脈血栓塞栓症の予防に関し,人工膝関節全置換術の翌朝に投与を開始した経口キシメラガトランの有効性は,ワルファリンよりも優れていた.出血合併症の発生率は両剤とも同程度であった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 1703 - 12. )