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October 30, 2003 Vol. 349 No. 18

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直接的トロンビン阻害薬キシメラガトランの経口投与による静脈血栓塞栓症の二次予防
Secondary Prevention of Venous Thromboembolism with the Oral Direct Thrombin Inhibitor Ximelagatran

S. Schulman and Others

背景

多くの静脈血栓塞栓症患者では,重大な出血のリスクが再発リスクを上回る可能性があるため,ビタミン K 拮抗薬による二次予防は 6 ヵ月を超えて続けることはできない.

方 法

二重盲検多施設共同試験において,抗凝固薬療法を 6 ヵ月間受けた静脈血栓塞栓症患者 1,233 例を,直接的トロンビン阻害薬キシメラガトラン(ximelagatran,24 mg)の経口投与による二次予防の延長,あるいはプラセボに無作為に割り付けた.投与は 1 日 2 回,凝固モニタリングを行わずに 18 ヵ月間行った.ベースライン時に,両足の超音波検査と肺血流シンチグラフィを行った.

結 果

キシメラガトラン群患者 612 例とプラセボ群患者 611 例のデータを解析した.主要エンドポイントである症候性の再発性静脈血栓塞栓症の発生は,キシメラガトランに割付けられた患者 12 例とプラセボに割付けられた患者 71 例で確認された(ハザード比 0.16;95%信頼区間 0.09~0.30;P<0.001).全死因死亡は,キシメラガトラン群で 6 例,プラセボ群で 7 例発生した.また,出血はそれぞれ 134 例と 111 例に発生した(ハザード比 1.19;95%信頼区間 0.93~1.53;P=0.17).重大な出血の発生率は低く(キシメラガトラン群で 6 件,プラセボ群で 5 件),いずれも致死的ではなかった.アラニンアミノトランスフェラーゼ値が正常値上限の 3 倍以上に一時的に上昇したことの累積リスクは,キシメラガトラン群では 6.4%であり,これに対しプラセボ群では 1.2%であった(P<0.001).

結 論

経口キシメラガトランは,静脈血栓塞栓症の長期予防においてプラセボよりも優れていた.出血合併症の発生率に有意な増加はみられなかったが,アラニンアミノトランスフェラーゼ値が一時的に上昇した患者の数は増加した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 1713 - 21. )