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October 30, 2003 Vol. 349 No. 18

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散発性副甲状腺癌における HRPT2 遺伝子の体細胞変異および生殖細胞系変異
Somatic and Germ-Line Mutations of the HRPT2 Gene in Sporadic Parathyroid Carcinoma

T.M. Shattuck and Others

背景

副甲状腺癌のリスクが高くなる家族性副甲状腺機能亢進症の一種,副甲状腺機能亢進症―顎癌(HPT-JT)症候群において,HRPT2 の不活性型生殖細胞系変異が発見されたため,われわれはパラフィブロミン(parafibromin)蛋白をコードする HRPT2 遺伝子の変異を散発性副甲状腺癌で探索した.

方 法

受診時に原発性副甲状腺機能亢進症や HPT-JT 症候群の家族歴がない患者 15 例から採取した副甲状腺癌 21 検体について,HRPT2 遺伝子の全コード領域とフランキング領域のスプライス部位(flanking splice-junctional regions)の配列を直接決定した.また,同定した変異の体細胞系での性質を確認しようと試み,腫瘍特異的な HRPT2 のヘテロ接合性の喪失に関して癌を検討した.

結 果

患者 15 例中 10 例から採取した副甲状腺癌に HRPT2 変異が認められ,これらの変異は,いずれもコードしているパラフィブロミン蛋白を不活化するものであると予測された.5 例の腫瘍には 2 つの異なる HRPT2 変異が認められ,腫瘍 1 例で,1 つの変異とヘテロ接合性の喪失の結果生じた両対立遺伝子の不活性化が認められた.6 例の癌腫では,少なくとも 1 つの HRPT2 変異が明らかに体細胞性であった.意外なことに,患者 3 例の副甲状腺癌における HRPT2 変異は,生殖細胞系変異であることが確認された.

結 論

散発性副甲状腺癌には,HRPT2 変異が存在することが多く,この変異は疾患の発症において重要である可能性が高い.見かけ上は散発性の副甲状腺癌を有する一部の患者は,HRPT2 に生殖細胞系変異を有しており,HPT-JT 症候群か異なる表現型を呈する可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 1722 - 9. )