November 13, 2003 Vol. 349 No. 20
融合蛋白 CTLA4Ig の T 細胞活性化の選択的阻害による関節リウマチの治療
Treatment of Rheumatoid Arthritis by Selective Inhibition of T-Cell Activation with Fusion Protein CTLA4Ig
J.M. Kremer and Others
関節リウマチには,新たに有効な治療法が必要である.現在の治療法は活性化マクロファージの産物を標的としているが,T 細胞もまた関節リウマチに重要な役割をもつ.融合蛋白 CTLA4Ig ――細胞障害性 T リンパ球関連抗原 4 と IgG1 の融合蛋白――は,共刺激阻害薬として知られる新しい種の薬剤として最初のものであり,関節リウマチの治療で評価されている.CTLA4Ig は,抗原提示細胞上の CD80 と CD86 に結合し,T 細胞上の CD28 との結合を遮断して T 細胞の活性化を阻害する.予備試験では,CTLA4Ig が関節リウマチの治療に有効である可能性が示された.
メトトレキサート療法にもかかわらず活動性を示す関節リウマチ患者を,2 mg/kg 体重の CTLA4Ig(105 例),10 mg/kg 体重の CTLA4Ig(115 例),またはプラセボ(119 例)のいずれかを 6 ヵ月間投与する群に無作為に割付けた.また,すべての患者は試験中にメトトレキサート療法も受けた.臨床効果は,効果を反応の程度によって定義した米国リウマチ学会(American College of Rheumatology: ACR)の基準:20%(ACR 20),50%(ACR 50),70%(ACR 70)を用いて,6 ヵ月後に評価した.追加エンドポイントとして,健康関連 QOL の指標も組み入れた.
10 mg/kg 体重の CTLA4Ig で治療を受けた患者は,プラセボを受けた患者よりも ACR 20 を示す可能性が高かった(60% 対 35%,P<0.001).また,両方の CTLA4Ig 群では,プラセボ群よりも ACR 50 と ACR 70 の反応を示す割合が有意に高かった.10 mg/kg 体重の CTLA4Ig を受けた群では,医学転帰検査(MOS)36 項目の簡略一般健康状態調査の 8 下位尺度すべてにおいて,臨床的に重要かつ統計的に有意な改善がみられた.CTLA4Ig は忍容性が高く,全体の安全性プロファイルはプラセボと同程度であった.
メトトレキサートを受けていた活動性関節リウマチ患者では,CTLA4Ig 療法により,関節リウマチの徴候や症状,健康関連 QOL が有意に改善した.CTLA4Ig は,関節リウマチの新しい治療法として有望である.