November 13, 2003 Vol. 349 No. 20
重度胎児先天性横隔膜ヘルニアに対する胎児内視鏡気管閉塞術の無作為試験
A Randomized Trial of Fetal Endoscopic Tracheal Occlusion for Severe Fetal Congenital Diaphragmatic Hernia
M.R. Harrison and Others
実験データおよび臨床データから,肺の成長促進を目的とした胎児内視鏡気管閉塞術は,重度先天性横隔膜ヘルニアの転帰を改善する可能性があることが示唆されている.われわれは,胎児気管閉塞術と標準的な出生後療法とを比較する無作為対照試験を実施した.
妊娠 22~27 週で,重度の左側先天性横隔膜ヘルニア(肝脱出と肺/頭比が 1.4 未満)を呈するが,その他の異常は認められない胎児を妊娠している女性を,胎児内視鏡気管閉塞術または標準療法に無作為に割付けた.主要評価項目は生後 90 日における生存率とし,副次的評価項目は母親および新生児の障害に関する指標とした.
組み入れ基準を満たした女性 28 例のうち,24 例が無作為化に同意した.標準療法での生存率が予想外に高く,さらに募集を行っても群間に有意差は認められないであろうとデータ・安全性モニタリング委員会が判断したため,患者 24 例を組み入れた後,組み入れを中止した.気管閉塞術群の胎児 11 例中 8 例(73%)と標準療法群の 13 例中 10 例(77%)が生後 90 日まで生存した(P=1.00).肺/頭比で測定した無作為化時の先天性横隔膜ヘルニアの重症度は,両群とも生存率と負の関連を示した.標準療法を施行した群と比較して,介入群では早期破水および早期産が多く認められた(出産時の在胎週数平均[±SD]30.8±2.0 週 対 37.0±1.5 週;P<0.001).新生児の障害の発生率については群間で差は認められなかった.
先天性横隔膜ヘルニアを呈する胎児の集団において,気管閉塞術は生存率および障害を改善しなかった.