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July 17, 2003 Vol. 349 No. 3

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喘息の成人のためのダニアレルゲン曝露の管理とアレルゲン不透過性ベッドカバー
Control of Exposure to Mite Allergen and Allergen-Impermeable Bed Covers for Adults with Asthma

A. Woodcock and Others

背景

喘息管理における,ハウスダスト中のダニアレルゲン(1 型 Dermatophagoides pteronyssinus [Der p1])回避の効果は不明である.

方 法

喘息の成人 1,122 例を対象に,アレルゲン不透過性ベッドカバーの二重盲検無作為プラセボ対照試験を行った.主要転帰は,試験開始時と 6 ヵ月目に 4 週間にわたって測定した朝の最大呼気流量の平均,および 7~12 ヵ月目に段階的減量プログラムの一環として吸入コルチコステロイドによる治療を中止した患者の割合であった.試験登録時と 6 ヵ月後,12 ヵ月後に,患者の 10%に当る無作為サブサンプルの家で,マットレスの塵中の Der p1 を測定した.

結 果

ハウスダスト中のダニアレルゲンに対して感受性を示した患者の割合は,アレルゲン不透過性ベッドカバーが供給された群(積極介入群)では 65.4%であり,アレルゲン透過性ベッドカバーが供給された対照群では 65.1%であった.マットレスの塵中の Der p1 濃度は,6 ヵ月後には積極介入群で有意に低かったが(幾何平均,0.58 μg/g 対 1.71 μg/g;P=0.01),12 ヵ月後には有意差はなかった(1.05 μg/g 対 1.64 μg/g,P=0.74).朝の最大呼気流量の平均は,両群で有意に改善した(積極介入群では 410.7 L/分から 419.1 L/分へ,変化に対する P<0.001;対照群では 417.8 L/分から 427.4 L/分へ,変化に対する P<0.001).ベースライン時の差で補正後(共分散分析による),6 ヵ月後の最大呼気流量には両群で有意差はなかった(積極介入群と対照群の平均の差,全患者を対象とした場合は-1.6 L/分 [95%信頼区間 -5.9~2.7;P=0.46],ダニに感受性を示す患者を対象とした場合は-1.5 L/分 [95%信頼区間 -6.9~3.9;P=0.59]).吸入コルチコステロイドによる治療の完全中止の割合(積極介入群 17.4%,対照群 17.1%)あるいはステロイド減量の平均値には,全患者またはダニに感受性を示す患者のいずれにおいても両群間で有意差はなかった.

結 論

アレルゲン不透過性カバーは,ハウスダスト中のダニアレルゲンへの曝露を回避するために単独の介入法として使用しても,喘息の成人において臨床的に効果はないと考えられる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 225 - 36. )