アレルギー性鼻炎患者における不透過性寝具カバーの評価
Evaluation of Impermeable Covers for Bedding in Patients with Allergic Rhinitis
I. Terreehorst and Others
寝具に不透過性カバーをかければハウスダスト中のダニへの曝露は軽減するが,アレルギー性鼻炎患者にとって,この介入がダニ回避の一手段として臨床上有益かどうかは不明である.疾病の徴候や症状に対する影響を明らかにするために,ハウスダスト中のダニに感作された鼻炎患者の,寝室での不透過性寝具カバーの使用に関して 1 年間の多施設無作為プラセボ対照試験を行った.
3 ヵ所の参加大学医療施設でアレルギー性鼻炎患者 279 例を登録し,マットレス,枕,羽毛布団または毛布について,不透過性カバーか透過性(対照)カバーに無作為に割付けた.試験開始時に参加者全員が,一般的なアレルゲン回避法に関する情報を受けた.鼻炎の重症度を,鼻炎特異的な視覚アナログ尺度,毎日の症状スコア,鼻のアレルゲン誘発テストにより評価した.さらに介入効果の一評価指標として,ベースライン時および 12 ヵ月後に患者のマットレスと寝室・居間の床から採取した塵中の,Dermatophagoides pteronyssinus(Der p1)と D. farinae(Der f1)の濃度を測定した.
合計 232 例の患者が試験を終了した.不透過性カバー群のマットレスでは Der p1 濃度および Der f1 濃度が有意に減少したが,対照群では有意な減少がみられなかった.しかし臨床転帰の評価に対しては有意な効果はなかった.年齢,曝露レベル,感作の種類・程度,患者宅の特徴によって定義したサブグループ解析は,同等の結果を示した.
ダニ不透過性寝具カバーは,体系的なアレルギー抑制策の一環として,ダニアレルゲンへの曝露レベルを減少させた.介入は成功したが,この回避手段単独では,アレルギー性鼻炎患者の臨床症状に有意な改善をもたらさなかった.