March 11, 2004 Vol. 350 No. 11
原発性乳癌の閉経後女性における 2~3 年間のタモキシフェン療法後のエキセメスタンに関する無作為試験
A Randomized Trial of Exemestane after Two to Three Years of Tamoxifen Therapy in Postmenopausal Women with Primary Breast Cancer
R.C. Coombes and Others
5 年間のタモキシフェン投与は,エストロゲン受容体陽性の原発性乳癌の閉経後女性に対する標準的な補助療法である.しかし,この治療にもかかわらず一部の患者では再発する.
タモキシフェン療法を 2~3 年間行ったあとエキセメスタンに変更することが,5 年間の治療の残りの期間タモキシフェン療法を続けることよりも有効であるかどうかを検証することを目的として,無作為二重盲検試験を実施した.主要エンドポイントは無病生存率とした.
登録患者 4,742 例中,2,362 例がエキセメスタンに変更する群へ,2,380 例がタモキシフェン投与を継続する群に無作為に割付けられた.中央値 30.6 ヵ月の追跡期間後,449 件の初回イベント(局所性あるいは転移性の再発,対側乳癌,または死亡)が報告された.このうち 183 件がエキセメスタン群,266 件がタモキシフェン群であった.タモキシフェン群と比較したエキセメスタン群における未補正ハザード比は 0.68 であり(95%信頼区間 0.56~0.82;log-rank 検定で P<0.001),これは,無作為化後 3 年の時点でリスクが 32%減少したことを意味し,無病生存率に関して 4.7%の絶対的利益に相当した(95%信頼区間 2.6~6.8).死亡はエキセメスタン群で 93 件,タモキシフェン群で 106 件発生し,全生存率について 2 群間に有意差はなかった.エキセメスタンの重篤な毒性作用はほとんど認められなかった.対側乳癌はタモキシフェン群で 20 例,エキセメスタン群で 9 例に起った(P=0.04).
2~3 年間のタモキシフェン療法後に行うエキセメスタン療法では,標準的な 5 年間のタモキシフェン療法と比較して無病生存率が有意に改善した.