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March 25, 2004 Vol. 350 No. 13

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早産児の肺疾患に対する生後デキサメタゾン療法の学齢期における転帰
Outcomes at School Age after Postnatal Dexamethasone Therapy for Lung Disease of Prematurity

T.F. Yeh and Others

背景

早産児の慢性肺疾患予防を目的とした生後早期のデキサメタゾン療法(生後 12 時間以内に開始)に関する二重盲検プラセボ対照試験に参加した小児を対象に,学齢期における転帰を検討した.

方 法

最初の研究に組み入れた小児 262 例のうち,159 例が学齢期まで生存した.これらの小児のうち,146 例(デキサメタゾン群 72 例,対照群 74 例)を研究に組み入れた.すべての乳児は,出生後すぐに機械的人工呼吸を必要とする重症呼吸窮迫症候群に罹患していた.デキサメタゾン群では,0.25 mg/kg 体重のデキサメタゾンを 12 時間ごとに 1 週間静脈内投与し,その後投与量を漸減した.小児の発育,神経機能と運動機能,認知能力,学校での成績を評価した.

結 果

デキサメタゾン群の小児は,対照群の小児よりも身長が有意に低く(男子に対する P=0.03,女子に対する P=0.01,すべての小児に対する P=0.03),頭囲も有意に小さかった(P=0.04).デキサメタゾン群の小児は,運動技能(P<0.001),運動協調性(P<0.001),視覚と運動の統合(P=0.02)が対照群の小児よりも有意に劣っていた.また,デキサメタゾン群の小児では,対照群の小児に比べて全検査 IQ スコア(平均 [±SD] 78.2±15.0 対 84.4±12.6,P=0.008),言語性 IQ スコア(84.1±13.2 対 88.4±11.8,P=0.04),動作性 IQ スコア(76.5±14.6 対 84.5±12.7,P=0.001)が有意に低かった.臨床的に有意な障害に関しては,デキサメタゾン群の小児のほうが対照群よりも発生率が高かった.(72 例中 28 例 [39%] 対 74 例中 16 例 [22%],P=0.04).

結 論

生後早期のデキサメタゾン療法は,学齢期における神経運動機能と認知機能にかなりの有害作用をもたらすため,慢性肺疾患に対する日常的な予防や治療に推奨すべきではない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 350 : 1304 - 13. )