April 15, 2004 Vol. 350 No. 16
成人急性骨髄性白血病における予後予測サブクラスの同定を目的とした遺伝子発現プロファイリングの利用
Use of Gene-Expression Profiling to Identify Prognostic Subclasses in Adult Acute Myeloid Leukemia
L. Bullinger and Others
急性骨髄性白血病(AML)患者では,再発性の細胞遺伝学的異常の有無によって適切な治療法が決定される.しかし,現行の分類システムは疾患の分子的異質性を十分に反映しておらず,治療の層別化が困難である.これはとくに,正常核型でリスクが中等度の AML 患者に当てはまる.
AML の成人 116 例(正常核型の 45 例を含む)から得た末梢血標本または骨髄標本において,cDNA マイクロアレイを用いて遺伝子発現レベルを決定した.非監視下の階層的クラスター分析により,異なる遺伝子発現特性を有する分子サブグループを同定した.患者 59 例の標本をトレーニングセットに用い,新規の監視学習アルゴリズムを利用して,遺伝子発現に基づく臨床転帰の予測因子を考案した.次に,残り 57 例から成る独立した検証群を用いて,この臨床転帰予測因子を検証した.
非監視分析により,正常核型の AML の予後に関連した 2 つのサブグループを含む,AML の新しい分子サブタイプが同定された.監視学習アルゴリズムを用いて,最適な 133 個の遺伝子から成る臨床転帰予測因子を構築した.この予測因子は,独立した検証群の患者で全生存率を正確に予測し(P=0.006),正常核型の AML 患者のサブグループにおいても予測能が示された(P=0.046).多変量解析では,遺伝子発現に基づくこの予測因子は,強力な独立予後因子であった(オッズ比 8.8;95%信頼区間 2.6~29.3;P<0.001).
遺伝子発現プロファイリングの利用により,成人 AML の分子的分類が改善する.