April 15, 2004 Vol. 350 No. 16
急性骨髄性白血病の予後予測に有用な遺伝子発現プロファイル
Prognostically Useful Gene-Expression Profiles in Acute Myeloid Leukemia
P.J.M. Valk and Others
急性骨髄性白血病(AML)患者の疾患を分類し,治療法を決定し,予後を予測するためには,いくつかの手法を組み合せて用いなければならない.しかし,この組み合せによる方法で適切な治療情報や正確な予後情報を得られるのは,症例のわずか 50%のみである.
約 13,000 種類の異なる遺伝子あるいは遺伝子発現特性タグを搭載した Affymetrix U133A GeneChips を用いて,AML 患者 285 例から得た末梢血標本あるいは骨髄標本中の遺伝子発現プロファイルを決定した.データの解析は,Omniviz,マイクロアレイ有意性解析ソフトウェア,マイクロアレイ予測解析ソフトウェアを用いて行った.特異的分子特性を有する AML 症例の,予後予測における意義を決定することを目的として統計解析を行った.
非監視下で行ったクラスター分析では,分子特性に基づき,16 の AML 患者グループが同定された.これらのクラスターを定義する遺伝子を同定し,予後予測に重要なクラスターを高い精度で同定するのに必要な,最小限の遺伝子を決定した.染色体異常(t(8;21),t(15;17),inv(16)など),特定の遺伝子変異(CEBPA),異常な癌遺伝子の発現(EVI1)の存在をもとにクラスター分類を行った.新規のクラスターがいくつか同定され,中には正常な核型をもつ標本から成るものもあった.特徴的な遺伝子発現特性をもつ唯一のクラスターには,治療転帰の不良な AML 症例が含まれていた.
遺伝子発現プロファイリングにより,これまでに同定された遺伝的サブグループや予後の不良な新規クラスターといった,AML の包括的分類が可能となる.