集中治療室で行う輸液療法におけるアルブミンと生理食塩水の比較
A Comparison of Albumin and Saline for Fluid Resuscitation in the Intensive Care Unit
The SAFE Study Investigators
集中治療室(ICU)で患者の蘇生時に用いる輸液の選択が,生存に影響を及ぼすかどうかは依然として明らかにされていない.ICU の多様な患者集団において,アルブミンまたは生理食塩水を用いた輸液療法が死亡率に及ぼす影響を比較することを目的として,多施設共同無作為二重盲検試験を実施した.
ICU 入室患者を,蘇生時に行う静脈内輸液療法として,28 日間の 4%アルブミンまたは生理食塩水の投与に無作為に割付けた.主要転帰評価項目は,無作為化後 28 日間での全死因死亡とした.
無作為化した患者 6,997 例のうち,3,497 例をアルブミン投与に,3,500 例を生理食塩水投与に割付けた.試験開始時の患者の特性は両群で類似していた.アルブミン群で 726 件の死亡が発生したのに対し,生理食塩水群では 729 件であった(死亡の相対リスク 0.99;95%信頼区間 0.91~1.09;P=0.87).単一臓器不全や多臓器不全を新たに発症した患者の割合は,2 群でほぼ同程度であった(P=0.85).平均(±SD)の ICU 入室期間(アルブミン群で 6.5±6.6 日,生理食塩水群で 6.2±6.2 日,P=0.44),入院期間(それぞれ 15.3±9.6 日,15.6±9.6 日,P=0.30),人工呼吸器による管理期間(それぞれ 4.5±6.1 日,4.3±5.7 日,P=0.74),および血液浄化療法の期間(それぞれ 0.5±2.3 日,0.4±2.0 日,P=0.41)に関して,2 群間に有意差はなかった.
ICU 患者において,蘇生時に行う輸液療法に 4%アルブミンまたは生理食塩水のいずれを用いても,28 日の時点で転帰は同様である.