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日本語アブストラクト

May 27, 2004 Vol. 350 No. 22

肺塞栓症後の慢性血栓塞栓性肺高血圧症の発生率
Incidence of Chronic Thromboembolic Pulmonary Hypertension after Pulmonary Embolism

V. Pengo and Others

背景

慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTPH)は,高い障害発生率および死亡率に関連している.肺塞栓症後の CTPH の発生率と関連する危険因子については,あまり報告されていない.

方 法

症候性 CTPH の発生率を評価することを目的として,肺塞栓症を急性発症したが静脈血栓塞栓症の既往がない連続した患者を対象に,前向きの長期追跡研究を行った.追跡期間中に原因不明の持続的呼吸困難をきたした患者に経胸壁心エコー検査を行い,CTPH を裏付ける所見があれば肺換気血流スキャンと肺血管造影を行った.収縮期肺動脈圧が 40 mmHg 超,平均肺動脈圧が 25 mmHg 超で,肺毛細管楔入圧が正常,かつ血管造影検査で CTPH の所見が認められた場合,CTPH と判定した.

結 果

症候性 CTPH の累積発生率は,6 ヵ月後に 1.0%(95%信頼区間 0.0~2.4),1 年後に 3.1%(95%信頼区間 0.7~5.5),2 年後に 3.8%(95%信頼区間 1.1~6.5)であった.2 年以上の追跡データがある患者において,2 年目以後の発症はなかった.CTPH リスクの増加要因は,肺塞栓症の既往(オッズ比 19.0),若年齢(オッズ比,10 歳ごとに 1.79),大きな灌流欠損(オッズ比,灌流の十分位数が一分位下がるごとに 2.22),受診時の特発性肺塞栓症(オッズ比 5.70)であった.

結 論

CTPH は比較的発生率が高い,肺塞栓症の重篤な合併症である.CTPH の早期発見・早期予防のために,診断と治療の戦略が必要である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 350 : 2257 - 64. )