January 29, 2004 Vol. 350 No. 5
乳児および小児におけるヒトメタニューモウイルスと下気道疾患
Human Metapneumovirus and Lower Respiratory Tract Disease in Otherwise Healthy Infants and Children
J.V. Williams and Others
罹患前は健常であった乳児および小児の下気道疾患において,ヒトメタニューモウイルスの果す役割を明らかにすることを試みた.
25 年間にわたり,急性気道疾患を呈し,その他の点では健康な小児から採取した鼻洗浄液検体について,ヒトメタニューモウイルスを検査した.
1976~2001 年に診察を行った乳児および小児 2,009 例の集団を対象とした前向き調査において,小児 463 例による下気道疾患に関する受診 687 回中,279 回(41%)にヒトメタニューモウイルス以外のウイルス性の原因が認められた.小児 321 例は,原因の特定できない下気道疾患で 408 回来院していた.これらの小児 321 例中,248 例から採取した検体が利用可能であった.これらの検体 248 例中 49 例(20%)に,ヒトメタニューモウイルスの RNA,あるいは生きたヒトメタニューモウイルスが含まれていた.したがって,過去にウイルス陰性であったすべての下気道疾患のうち,20%がヒトメタニューモウイルスに起因していたことになる.これは,このコホート集団の下気道疾患全例では,12%がこのウイルスに起因する可能性が高いことを意味する.ヒトメタニューモウイルスに感染した小児の平均年齢は 11.6 ヵ月,男女比は 1.8:1,疾患の 78%は 12 月~4 月に発生し,入院率は 2%であった.ヒトメタニューモウイルスは,症例の 59%で細気管支炎,8%で肺炎,18%でクループ,14%で喘息の悪化と関連していた.また,ヒトメタニューモウイルスは上気道感染を有する患者 261 例から採取したサンプルの 15%で検出されたが,無症候性の小児から採取したサンプル 86 例では 1 例にしか検出されなかった.
ヒトメタニューモウイルス感染は,生後 1 年以内の気道感染の主な原因であり,発現する病状は RS ウイルスと類似している.