The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

January 29, 2004 Vol. 350 No. 5

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

可溶性 TREM-1 と肺炎の診断
Soluble Triggering Receptor Expressed on Myeloid Cells and the Diagnosis of Pneumonia

S. Gibot and Others

背景

人工呼吸を受けている患者における細菌性肺炎の診断と治療は,依然としてむずかしい問題である.骨髄細胞に発現する誘発性受容体(Triggering receptor expressed on myeloid cell; TREM-1)は免疫グロブリンスーパーファミリーの 1 つで,その食細胞上での発現はとくに微生物の産生物質によってアップレギュレーションを受ける.人工呼吸を受けている患者の気管支肺胞洗浄液中に可溶性 TREM-1(sTREM-1)が存在することが,肺炎の指標になる可能性がある.

方 法

人工呼吸を受け,感染性肺炎の疑いがある患者 148 例を対象に前向き研究を行った.迅速免疫ブロット法を用いて,気管支肺胞洗浄液中の TREM-1 を測定した.TREM-1 検査の結果を知らされていない 2 人の集中治療専門医がそれぞれ,市中肺炎および人工呼吸器に関連した肺炎の有無を判定した.

結 果

最終診断は,市中肺炎が 38 例,人工呼吸器関連肺炎が 46 例,肺炎でない患者が 64 例であった.sTREM-1 の存在は,細菌性肺炎や真菌性肺炎の診断の確定において,単独でどの臨床所見や臨床検査値よりも正確であった(尤度比 10.38,感度 98%,特異度 90%).多重ロジスティック回帰分析において,sTREM-1 の存在は,肺炎に対するもっとも有力な独立した予測因子であった(オッズ比 41.5).

結 論

人工呼吸を受けている患者において,気管支肺胞洗浄液中の sTREM-1 を迅速に検出することは,細菌性肺炎や真菌性肺炎の診断の確定または除外に有用であるかもしれない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 350 : 451 - 8. )