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March 4, 2004 Vol. 350 No. 10

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増殖性ループス腎炎に対する逐次療法
Sequential Therapies for Proliferative Lupus Nephritis

G. Contreras and Others

背景

増殖性ループス腎炎患者において,シクロホスファミドによる長期療法は腎機能の低下を防ぐが,シクロホスファミドの有益な効果とその重大な毒性作用とを比較検討する必要がある.

方 法

ループス腎炎患者 59 例(12 例は WHO の病型分類 III 型,46 例は IV 型,1 例は Vb 型)を対象に,導入療法として最高 7 回まで,月 1 回のシクロホスファミドの静脈内ボーラス投与(0.5~1.0 g/m2 体表面積)とコルチコステロイド投与を行った.続いて患者を次の維持療法のいずれかに無作為に割付けた.維持療法は,年 4 回のシクロホスファミドの静脈内投与,アザチオプリンの経口投与(1 日当り 1~3 mg/kg 体重),ミコフェノール酸モフェチルの経口投与(1 日当り 500~3,000 mg)の 3 種類とし,1~3 年間行った.シクロホスファミド群の慢性化指数(chronicity index)がミコフェノール酸モフェチル群よりも 1.9 ポイント低い(P=0.009)以外は,3 群のベースラインの特徴は類似していた.

結 果

維持療法中に患者 5 例が死亡し(シクロホスファミド群 4 例,ミコフェノール酸モフェチル群 1 例),5 例が慢性腎不全を発症した(シクロホスファミド群 3 例,アザチオプリン群 1 例,ミコフェノール酸モフェチル群 1 例).死亡または慢性腎不全から成る複合エンドポイントに対する 72 ヵ月無病生存率は,シクロホスファミド群よりもミコフェノール酸モフェチル群とアザチオプリン群で高かった(それぞれ P=0.05,P=0.009).無再発生存率は,ミコフェノール酸モフェチル群のほうがシクロホスファミド群よりも高かった(P=0.02).入院,無月経,感染症,悪心,嘔吐の発生率は,ミコフェノール酸モフェチル群とアザチオプリン群において,シクロホスファミド群よりも有意に低かった.

結 論

増殖性ループス腎炎の患者において,シクロホスファミドの静脈内投与による短期療法と,それに続くミコフェノール酸モフェチルまたはアザチオプリンによる維持療法は,シクロホスファミドの静脈内投与による長期療法よりも有効かつ安全であると考えられる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 350 : 971 - 80. )