HIV に感染した男性における GB ウイルス C の持続感染と生存
Persistent GB Virus C Infection and Survival in HIV-Infected Men
C.F. Williams and Others
GB ウイルス C(GBV-C)は,ヒトに対する病原性が知られておらず,リンパ球で自己複製し,in vitro でヒト免疫不全ウイルス(HIV)の複製を阻害する.また,すべての研究でではないが一部では,GBV-C と HIV 陽性者の死亡リスクの低下との関連が認められた.先行研究では,HIV や GBV-C の感染期間の相違を補正していなかった.
多施設共同後天性免疫不全症候群コホート研究(Multicenter Acquired Immuno-deficiency Syndrome Cohort Study)に参加した男性 271 例を対象とし,HIV 陽性に血清転換したあと 12~18 ヵ月の時点(早期来院)で,GBV-C ウイルス血症(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法で判定)または E2 抗体(酵素免疫測定法で判定)について検討した.また,患者 138 例のサブグループについて,HIV 血清転換後 5~6 年の時点(長期経過後来院)で評価を行った.
GBV-C 感染は,E2 抗体(46%)または GBV-C RNA(39%)の存在に基づき,HIV 血清転換男性の 85%に認められた.早期来院と長期経過後来院のあいだに GBV-C ウイルス血症をきたしたのは 1 例だけであったが,同期間中に男性の 9%で GBV-C RNA が消失した.HIV 血清転換後 12~18 ヵ月における GBV-C 感染状況と生存とのあいだに有意な関連性は認められなかった.しかし,HIV 血清転換後 5~6 年に GBV-C RNA が存在しない男性は,GBV-C ウイルス血症が持続している男性と比較して,死亡する確率が 2.78 倍高かった(95%信頼区間1.34~5.76,P=0.006).もっとも不良な予後は,GBV-C RNA の消失と関連していた(GBV-C RNA が持続していた男性と比較した死亡の相対ハザード 5.87;P=0.003).
HIV 陽性男性において,GBV-C ウイルス血症は,HIV 血清転換後 5~6 年での生存期間の延長と有意に関連していたが,血清転換後 12~18 ヵ月での生存期間の延長とは関連していなかった.HIV 血清転換後 5~6 年以前に GBV-C RNA が消失することは,もっとも不良な予後と関連していた.GBV-C と HIV の相互作用の機序を解明することで,HIV 疾患の進行に関する洞察が得られる可能性がある.