October 7, 2004 Vol. 351 No. 15
高リスク患者における保護頸動脈ステント留置術と頸動脈内膜剥離術の比較
Protected Carotid-Artery Stenting versus Endarterectomy in High-Risk Patients
J.S. Yadav and Others
頸動脈内膜剥離術は,症候性あるいは無症候性の重度の粥状硬化性頸動脈狭窄患者において,脳卒中の予防として行う場合,内科的管理よりも効果的である.一方,頸動脈疾患において,塞栓保護デバイスを使用したステント留置術は,頸動脈内膜剥離術よりも侵襲性の低い血行再建術である.
頸動脈狭窄を呈する患者で,頸動脈内膜剥離術を行うことでリスクが上昇する可能性のある合併症を有し,症候性で血管径が 50%以上狭窄しているか,無症候性で血管径が 80%以上狭窄している患者 334 例を対象に,塞栓保護デバイスを用いた頸動脈ステント留置術と頸動脈内膜剥離術を比較する無作為試験を行った.試験の主要エンドポイントは,術後 1 年までの重大な心血管イベント――介入後 30 日以内の死亡,脳卒中,心筋梗塞のいずれかの組み合せ,あるいは 31 日~1 年のあいだの死亡または同側の脳卒中――の累積発生率とした.試験は,侵襲性の低い方法であるステント留置術が,頸動脈内膜剥離術に劣らないという仮説を検証する目的でデザインされた.
主要エンドポイントは,塞栓保護デバイスを用いた頸動脈ステント留置術に無作為に割付けられた患者のうち 20 例(累積発生率 12.2%)と,頸動脈内膜剥離術に無作為に割付けられた患者のうち 32 例(累積発生率 20.1%)で発生した(絶対差 -7.9 パーセント・ポイント;95%信頼区間 -16.4~0.7 パーセント・ポイント;非劣性に対する P=0.004,優越性に対する P=0.053).1 年の時点で,頸動脈の血行再建を繰り返し受けた患者は,ステント留置群のほうが頸動脈内膜剥離群よりも少なかった(累積発生率 0.6% 対 4.3%;P=0.04).
重度の頸動脈狭窄と合併症を有する患者において,塞栓保護デバイスを用いた頸動脈ステント留置術は,頸動脈内膜剥離術に劣らない.