October 7, 2004 Vol. 351 No. 15
治療抵抗性の進行前立腺癌に対するドセタキセル+エストラムスチンとミトキサントロン+プレドニゾンの比較
Docetaxel and Estramustine Compared with Mitoxantrone and Prednisone for Advanced Refractory Prostate Cancer
D.P. Petrylak and Others
ミトキサントロン主体の化学療法は,進行性アンドロゲン非依存性前立腺癌患者の生存期間を延長しないものの,疼痛を緩和する.転移性ホルモン非依存性前立腺癌患者において,ドセタキセル+エストラムスチンとミトキサントロン+プレドニゾンとを比較した.
770 例を,21 日を 1 クールとする 2 つの治療法のいずれかに無作為に割付けた.2 つの治療法は,1~5 日目にエストラムスチン 280 mg を 1 日 3 回,2 日目にドセタキセル 60 mg/m2 体表面積を投与し,ドセタキセル投与前にデキサメタゾン 60 mg を 3 回に分けて投与する方法,または 1 日目にミトキサントロン 12 mg/m2 体表面積を投与し,プレドニゾン 5 mgを 1 日 2 回投与する方法であった.主要エンドポイントは全生存期間,副次的エンドポイントは無進行生存期間,他覚的評価による反応率,治療後の血清前立腺特異抗原(PSA)値の 50%以上の低下とした.
適格者 674 例中,338 例がドセタキセル+エストラムスチン投与に,336 例がミトキサントロン+プレドニゾン投与に割付けられた.intention-to-treat 解析において,全生存期間の中央値はドセタキセル+エストラムスチン群のほうがミトキサントロン+プレドニゾン群よりも長く(17.5 ヵ月 対 15.6 ヵ月;log rank 検定による P=0.02),死亡のハザード比は 0.80 であった(95%信頼区間 0.67~0.97).進行までの期間の中央値は,ドセタキセル+エストラムスチン群で 6.3 ヵ月,ミトキサントロン+プレドニゾン群で 3.2 ヵ月であった(log rank 検定による P<0.001).PSA 値の 50%以上の低下は,それぞれ 50%と 27%に(P<0.001),他覚的な腫瘍反応は,腫瘍面積の測定が可能であった患者のうち,それぞれ 17%と 11%にみられた(P=0.30).グレード 3 または 4 の発熱を伴う好中球減少(P=0.01),悪心・嘔吐(P<0.001),心血管イベント(P=0.001)の発生率は,ドセタキセル+エストラムスチン群のほうがミトキサントロン+プレドニゾン群よりも高かった.疼痛緩和は両群で同程度であった.
ドセタキセル+エストラムスチンの投与により,ミトキサントロン+プレドニゾンの投与と比較して生存期間の中央値が約 2 ヵ月延長した.このことは,転移性アンドロゲン非依存性前立腺癌患者に対してこの治療法を行うことを支持するものである.