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November 4, 2004 Vol. 351 No. 19

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2 型糖尿病性腎症におけるアンジオテンシン受容体遮断薬とアンジオテンシン変換酵素阻害薬の比較
Angiotensin-Receptor Blockade versus Converting-Enzyme Inhibition in Type 2 Diabetes and Nephropathy

A.H. Barnett and Others

背景

2 型糖尿病患者におけるアンジオテンシン II 受容体遮断薬とアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の腎保護作用を,直接比較した研究はほとんどない.

方 法

5 年間の前向き多施設共同二重盲検試験において,初期腎症を呈す 2 型糖尿病患者 250 例を,アンジオテンシン II 受容体遮断薬テルミサルタン(80 mg/日,120 例)または ACE 阻害薬エナラプリル(20 mg/日,130 例)のいずれかに無作為に割付けた.主要エンドポイントは,糸球体濾過率(イオヘキソールの血漿クリアランスを測定して算出)の,ベースライン時の値と 5 年間の治療期間中に得られた最新の値のあいだの変化とした.副次的エンドポイントは,糸球体濾過率・血清クレアチニン値・尿中アルブミン排泄量・血圧の 1 年間の変化,末期の腎疾患と心血管イベントの発生率,および全死因死亡率とした.

結 果

5 年後,糸球体濾過率の変化は,テルミサルタン群(103 例)では -17.9 mL/分/1.73 m2 体表面積(マイナス記号は低下を示す)であったのに対し,エナラプリル群(113 例)では -14.9 mL/分/1.73 m2 体表面積で,治療法による差は -3.0 mL/分/1.73m2 体表面積であった(95%信頼区間 -7.6~1.6 mL/分/1.73 m2).信頼区間の下限はエナラプリルのほうが優位で,あらかじめ定義した -10.0 mL/分/1.73 m2 よりも大きかった.このことは,テルミサルタンのエナラプリルに対する非劣性を示している.5 年後の副次的エンドポイントに対する両薬剤の効果に有意差はなかった.

結 論

テルミサルタンは,2 型糖尿病患者の長期腎保護作用において,エナラプリルに劣らない.これらの知見は,より進行した腎症患者には必ずしも当てはまらないが,心血管イベントの高リスク患者における,アンジオテンシン II 受容体遮断薬と ACE 阻害薬の臨床的同等性を支持するものである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 1952 - 61. )