The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

November 4, 2004 Vol. 351 No. 19

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

アジスロマイシン単回投与によるトラコーマの集団治療
Mass Treatment with Single-Dose Azithromycin for Trachoma

A.W. Solomon and Others

背景

トラコーマは,トラコーマ・クラミジア(Chlamydia trachomatis)の眼球への反復感染により起り,失明の重要な原因である.トラコーマの集団治療において現在推奨されているアジスロマイシンの投与間隔は,数学的モデルに基づいている.

方 法

トラコーマが流行しているタンザニアの地域において,アジスロマイシンによる集団治療前と治療後 2,6,12,18,24 ヵ月目に結膜スワブを収集し,C. trachomatis の定量的 PCR 法を行った.倫理的理由から,6,12,18 ヵ月の時点でトラコーマの症状が活動期にある住民に対しては,テトラサイクリン眼軟膏を投与した.

結 果

ベースライン時に,住民 978 人中 956 人(97.8%)が,アジスロマイシン単回経口投与,または 1 サイクルのテトラサイクリン眼軟膏投与(アジスロマイシンが禁忌の場合)を受けた.トラコーマの感染率は,集団治療前の 9.5%から,2 ヵ月の時点で 2.1%,24 ヵ月の時点で 0.1%に減少した.地域における C. trachomatis 眼球感染の負荷を定量化したところ,2 ヵ月の時点で治療前の値の 13.9%,24 ヵ月の時点で 0.8%であった.ベースライン以降のいずれの時点においても,C. trachomatis 感染の地域全体の負荷量の 90%超は,前回の検査時に陽性であった被験者のあいだで認められた.

結 論

感染率と感染の重症度は劇的に低下し,治療後 2 年間にわたりその低い状態が維持された.アジスロマイシンによる集団治療を非常に広範囲の住民に 1 回行い,それに加えてできれば活動期トラコーマの患者にはその後テトラサイクリン眼軟膏を定期的に投与することで,眼球の C. trachomatis 感染の伝播を防ぐことができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 1962 - 71. )