The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

November 4, 2004 Vol. 351 No. 19

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

アシュケナージ系ユダヤ人におけるグルコセレブロシダーゼ遺伝子の変異とパーキンソン病
Mutations in the Glucocerebrosidase Gene and Parkinson's Disease in Ashkenazi Jews

J. Aharon-Peretz, H. Rosenbaum, and R. Gershoni-Baruch

背景

I 型ゴーシェ病とパーキンソニズムのあいだには,臨床的関連性が報告されている.I 型ゴーシェ病は,グルコセレブロシダーゼ遺伝子(GBA)の変異によるグルコセレブロシダーゼ欠損により引き起される.GBA 遺伝子の変異が特発性パーキンソン病と関連しているかどうかを検討した.

方 法

アシュケナージ系ユダヤ人の,診療所をベースとした一連の特発性パーキンソン病患者 99 例とアルツハイマー病患者 74 例,および特定の劣性遺伝疾患に関してヘテロ接合性を同定するために検査を受けた健常者 1,543 例について,アシュケナージ系ユダヤ人にもっとも多くみられる 6 種類の GBA 変異(N370S,L444P,84GG,IVS+1,V394L,R496H)のスクリーニングを行った.

結 果

31 例のパーキンソン病患者(31.3%,95%信頼区間 22.2~40.4%)で,1 つまたは 2 つの変異 GBA 対立遺伝子が認められた.そのうち 23 例は N370S のヘテロ接合性変異,4 例は 84GG のヘテロ接合性変異,3 例は N370S のホモ接合性変異,1 例は R496H のヘテロ接合性変異であった.アルツハイマー病患者 74 例のうち,3 例がゴーシェ病のキャリアであることが確認された(4.1%,95%信頼区間 0.0~8.5%).そのうち 2 例は N370S のヘテロ接合性変異,1 例は 84GG のヘテロ接合性変異であった.対照者 1,543 例では,95 例がゴーシェ病のキャリアであることが確認された(6.2%,95%信頼区間 5.0~7.4%).そのうち 92 例は N370S のヘテロ接合性変異,3 例は 84GG のヘテロ接合性変異であった.パーキンソン病患者では,ゴーシェ病のキャリアであるオッズが,アルツハイマー病患者(オッズ比 10.8,95%信頼区間 3.0~46.6,P<0.001)や対照者(オッズ比 7.0,95%信頼区間 4.2~11.4,P<0.001)と比較して有意に高かった.パーキンソン病患者では,ゴーシェ病のキャリアである患者は,キャリアでない患者と比較して年齢が低かった(平均発症年齢 [±SD] 60.0±14.2 歳 対 64.2±11.7 歳,P=0.04).

結 論

今回の結果から,アシュケナージ系ユダヤ人は,GBA 変異のヘテロ接合性により,パーキンソン病に罹患しやすくなる可能性があることが示唆される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 1972 - 7. )