November 11, 2004 Vol. 351 No. 20
黒人の心不全患者における硝酸イソソルビドとヒドララジンの併用
Combination of Isosorbide Dinitrate and Hydralazine in Blacks with Heart Failure
A.L. Taylor and Others
進行した心不全を呈する黒人患者において,硝酸イソソルビドとヒドララジンの固定用量配合剤の投与により,付加的な利益が得られるかどうかを評価した.このサブグループの患者は,この治療法に対して良好な反応を示すことがすでに認められている.
NYHA(New York Heart Association)分類 III 度または IV 度の心不全で,心室の拡張が認められる黒人患者計 1,050 例を,心不全の標準療法に加え,硝酸イソソルビド+ヒドララジンの固定用量配合剤を投与する群,またはプラセボを投与する群に無作為に割付けた.主要エンドポイントは,全死因死亡,心不全による初回の入院,および QOL の変化の値を加重集計した,複合スコアとした.
硝酸イソソルビド+ヒドララジン投与群と比較して,プラセボ群での死亡率が有意に高かったため,試験を早期に終了した(10.2% 対 6.2%,P=0.02).硝酸イソソルビド+ヒドララジン投与群では,プラセボ群と比較して,主要複合スコアの平均値が有意に良好であり(-0.1±1.9 対 -0.5±2.0,P=0.01;とりうる値の範囲 -6~+2),各項目についても有意に良好であった(全死因死亡率は 43%減少 [ハザード比 0.57,P=0.01],心不全による初回入院は相対的に 33%減少 [16.4% 対 22.4%,P=0.001],QOL は改善 [スコアの変化 -5.6±20.6 対 -2.7±21.2,スコアが低いほど QOL は良好;P=0.02;とりうる値の範囲 0~105]).
黒人の進行心不全患者において,神経ホルモン遮断薬などの心不全の標準療法に加えて,硝酸イソソルビド+ヒドララジンの固定用量配合剤を投与することは有効であり,生存期間を延長させる.