December 9, 2004 Vol. 351 No. 24
レボドパとパーキンソン病の進行
Levodopa and the Progression of Parkinson's Disease
The Parkinson Study Group
パーキンソン病症状の軽減に関するレボドパの有益性はすでに知られているが,その使用により神経変性が加速される可能性が懸念されている.この研究では,パーキンソン病の進行速度に対するレボドパの影響を評価した.
この無作為二重盲検プラセボ対照試験では,初期パーキンソン病患者 361 例を対象に,カルビドパ/レボドパの 1 日量 37.5 mg/150 mg,75 mg/300 mg,150 mg/600 mg のいずれかを 40 週投与する群,あるいはマッチしたプラセボを 40 週投与する群に割付け,その後 2 週間の休薬期間をおいて評価した.主要転帰はベースライン時と 42 週目の時点での統合パーキンソン病評価尺度(Unified Parkinson's Disease Rating Scale; UPDRS)スコアの変化とした.142 例についてベースライン時と 42 週目に神経画像検査を行い,123I 標識 2-β-carboxymethoxy-3-β-(4-iodophenyl)tropane([123I]β-CIT)の取り込みにより,線条体ドーパミントランスポータ密度を評価した.
パーキンソニズムの重症度は,プラセボ群でいずれのレボドパ群よりも高く,ベースライン時と 42 週目の UPDRS 総スコアの差の平均は,プラセボ群で 7.8 単位,レボドパ 150 mg/日群で 1.9 単位,300 mg/日群で 1.9 単位,600 mg/日群で -1.4 単位であった(P<0.001).これに対し,患者 116 例を対象にした補足研究では,[123I]β-CIT 取り込みの低下(%)の平均は,プラセボ群よりもレボドパ群のほうが有意に高かった(レボドパ 150 mg/日群 -6%,300 mg/日群 -4%,600 mg/日群 -7.2%,プラセボ群 -1.4%;ベースライン時の検査でドーパミン性神経欠損が認められなかった 19 例は解析から除外)(P=0.036).最大用量のレボドパの投与を受けた患者では,ジスキネジア,筋緊張亢進,感染症,頭痛,悪心の発生率がプラセボ群よりも有意に高かった.
この臨床データは,レボドパがパーキンソン病の進行を遅らせるか,レボドパの症状に対する効果が持続することを示唆している.一方,神経画像データからは,レボドパが黒質線条体ドーパミン神経終末の欠損を促進するか,その薬理作用によりドーパミントランスポータが修飾されることが示唆された.レボドパがパーキンソン病に対して長期的な影響を示す可能性については,依然不明である.