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December 30, 2004 Vol. 351 No. 27

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タモキシフェンで治療したリンパ節転移陰性乳癌における再発予測のための多重遺伝子解析
A Multigene Assay to Predict Recurrence of Tamoxifen-Treated, Node-Negative Breast Cancer

S. Paik and Others

背景

リンパ節転移のない,エストロゲン受容体陽性の乳癌患者において,遠隔再発の確率を決めるには,臨床的指標や組織病理学的指標は不十分である.

方 法

全米外科アジュバント胸部・腸管プロジェクト(National Surgical Adjuvant Breast and Bowel Project)臨床試験 B-14 に組み込まれた,リンパ節転移陰性で,タモキシフェン治療を受けた乳癌患者を対象に,あらかじめ選定した 21 個の遺伝子に関する,パラフィン包埋腫瘍組織の逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)解析の結果と,遠隔再発の確率とが相関関係にあるかどうかを検証した.あらかじめ定義したアルゴリズムで,16 個の癌関連遺伝子と 5 個の参照遺伝子の発現レベルを用いて各患者の再発スコアを算出し,リスク群(低リスク群,中リスク群,高リスク群)を決定した.

結 果

腫瘍塊 675 個のうち,668 個から十分な RT-PCR プロファイルが得られた.RT-PCR 解析によって分類された患者の割合は,低リスク群 51%,中リスク群 22%,高リスク群 27%であった.10 年目の時点での遠隔再発率に関する Kaplan–Meier 推定値は,低リスク群 6.8%(95%信頼区間 4.0~9.6),中リスク群 14.3%(95%信頼区間 8.3~20.3),高リスク群 30.5%(95%信頼区間 23.6~37.4)であった.低リスク群の再発率は,高リスク群の再発率よりも有意に低かった(P<0.001).多変量 Cox モデルにおいて,再発スコアは,年齢や腫瘍の大きさとは独立して,有意な予測力をもっていた(P<0.001).また,再発スコアは,全生存率を予測し(P<0.001),個々の患者の遠隔再発を予測するための連続関数として使用することができた.

結 論

この再発スコアは,リンパ節転移陰性・エストロゲン受容体陽性の乳癌で,タモキシフェン治療を受けた患者において,遠隔再発の確率を定量するのに有効であることが確認された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 2817 - 26. )