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July 22, 2004 Vol. 351 No. 4

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イリノテカン抵抗性の転移性結腸・直腸癌に対するセツキシマブ単独療法とセツキシマブ+イリノテカン併用療法
Cetuximab Monotherapy and Cetuximab plus Irinotecan in Irinotecan-Refractory Metastatic Colorectal Cancer

D. Cunningham and Others

背景

上皮成長因子受容体(EGFR)は,癌細胞内で脱制御を受けるシグナル伝達経路に関与しており,結腸・直腸癌細胞で高頻度に発現する.セツキシマブ(cetuximab)は,EGFR を特異的に阻害するモノクローナル抗体である.イリノテカンによる治療に反応しなかった転移性結腸・直腸癌において,セツキシマブの有効性を,イリノテカンとの併用および単独で比較した.

方 法

イリノテカンをベースとしたレジメンによる治療後,3 ヵ月以内に増悪がみられた患者 329 例を,セツキシマブ+イリノテカン(試験前のレジメンと同じ投与量とスケジュール)併用療法(218 例)またはセツキシマブ単独療法(111 例)のいずれかに無作為に割り付けた.疾患が増悪した場合には,セツキシマブ単独療法にイリノテカンの追加を認めることとした.腫瘍の反応を X 線検査で評価し,無増悪期間,生存,治療の副作用についても評価を行った.

結 果

併用療法群の奏効率は,単独療法群よりも有意に高かった(22.9% [95%信頼区間 17.5~29.1%] 対 10.8% [95%信頼区間 5.7~18.1%],P=0.007).無増悪期間の中央値は,併用療法群のほうが単独療法群よりも有意に長かった(4.1 ヵ月 対 1.5 ヵ月,log-rank 検定で P<0.001).生存期間の中央値は,併用療法群で 8.6 ヵ月,単独療法群で 6.9 ヵ月であった(P=0.48).毒性作用は,併用療法群でより多くみられたが,その重症度と発生率は,イリノテカン単独療法で予測されるものと同程度であった.

結 論

イリノテカン抵抗性の転移性結腸・直腸癌患者において,セツキシマブは単独またはイリノテカンとの併用で投与した場合,臨床的に意義のある効果を示す.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 337 - 45. )