加齢黄斑変性に関連するフィブリン 5 遺伝子のミスセンス変異
Missense Variations in the Fibulin 5 Gene in Association with Age-Related Macular Degeneration
E.M. Stone and Others
加齢黄斑変性(AMD)は,先進国における不可逆的な失明の原因としてもっとも多い.メンデル型のまれな黄斑変性に関する研究から,より一般的な型の AMD の病因にフィブリン遺伝子が関与していることが示された.AMD 患者の大規模な集団において,5 つのフィブリン遺伝子を評価した.
AMD 患者 402 例と,同じ診療所を受診している対照被験者 429 例について調査を行った.患者に間接検眼鏡検査,細隙灯顕微鏡検査,眼底撮影で検査を行い,AMD の存在とその表現型を確認した.フィブリン遺伝子ファミリーの 5 つのメンバーにおける配列の変異について,DNA サンプルのスクリーニングを行った.
5 つのフィブリン遺伝子すべてにアミノ酸変異を起す遺伝子配列の変異が検出され,その多くは AMD 患者のみに認められた.いくつかの変異残基は進化の過程で保存されていた.AMD 患者 402 例中 7 例でフィブリン 5 遺伝子にアミノ酸変異を起す配列変異がみられたが,対照被験者 429 例では変異はみられなかった(P<0.01).さらに,変異がみられた 7 例全員に,一般に基底膜のドルーゼン,小皮のドルーゼンと呼ばれる,小さい環状のドルーゼンがみられた.
フィブリン 5 遺伝子におけるミスセンス変異が,AMD 患者の 1.7%で認められた.ほかのフィブリン遺伝子の変異も,AMD 患者で多数発見されており,変異残基が進化の過程で保存されていることから,これらの変異のいくつかは AMD に関与している可能性がある.