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August 12, 2004 Vol. 351 No. 7

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院外心停止に対する二次救命処置
Advanced Cardiac Life Support in Out-of-Hospital Cardiac Arrest

I.G. Stiell and Others

背景

オンタリオ・プレホスピタル二次救命処置(Ontario Prehospital Advanced Life Support; OPALS)研究で,早期除細動プログラムに二次救命処置プログラムを加えることが,院外心停止後の生存率の向上に及ぼす影響について検討した.

方 法

この多施設共同比較対照臨床試験は,17 都市で二次救命処置プログラムが実施される前後に行ったもので,院外で心停止を起した患者 5,638 例を組み入れた.これらの患者のうち,1,391 例は早期除細動の段階で,4,247 例はその後行われた二次救命処置の段階で登録された.救急救命士は,気管内挿管と薬剤の静脈内投与など,標準的な二次救命処置の訓練を受けた.

結 果

早期除細動の段階から二次救命処置の段階にかけて,入院率は有意に上昇したが(10.9% 対 14.6%,P<0.001),生存して退院する割合に有意な上昇はみられなかった(5.0% 対 5.1%,P=0.83).生存に対する多変量オッズ比は,二次救命処置後は 1.1(95%信頼区間 0.8~1.5),第三者が目撃した心停止後は 4.4(95%信頼区間 3.1~6.4),第三者が心肺蘇生を行ったあとは 3.7(95%信頼区間 2.5 ~ 5.4),早期除細動後は 3.4(95%信頼区間 1.4~8.4)であった.いずれのサブグループにおいても,二次救命処置を行うことで生存率が改善するということはなかった.

結 論

院外心停止後の生存率は,早期除細動によりすでに整備されている救急医療制度のもとでは,二次救命処置を追加的に行っても改善しなかった.人命救助のためには,保健計画担当者は,住民による心肺蘇生と早期除細動の実施を,救急医療制度の方策の優先事項とすべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 647 - 56. )