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April 14, 2005 Vol. 352 No. 15

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治療関連性急性前骨髄性白血病における DNA トポイソメラーゼ II
DNA Topoisomerase II in Therapy-Related Acute Promyelocytic Leukemia

A.R. Mistry and Others

背景

腫瘍性のキメラ蛋白を生じる染色体転座は,白血病の発症において重要であるがその発生機序は不明である.乳癌または喉頭癌患者において,トポイソメラーゼ II を阻害する化学療法薬で治療後に発症した,t(15;17) 転座を有する急性前骨髄性白血病(APL)について検討した.

方 法

治療関連 APL における t(15;17) のゲノム切断点の特徴を明らかにするため,long-range PCR 法および配列解析を行った.確認された転座切断点での二本鎖 DNA の切断に,トポイソメラーゼ II が直接関与しているのかどうかを調べるため,in vitro 機能解析により,PML 遺伝子と RARA 遺伝子の切断点の正常な相同染色体において,トポイソメラーゼ II の仲介する切断について調べた.

結 果

トポイソメラーゼ II 阻害薬ミトキサントロンへの曝露後に発症した APL において,転座切断点は,PML 遺伝子のイントロン 6 内の 8 bp 領域に集中していた.機能解析では,この「ホットスポット」と対応する RARA 遺伝子の切断点が,トポイソメラーゼ II によるミトキサントロン誘発性切断が頻発する部位であった.エトポシドとドキソルビシンも,これらの薬物への曝露後に発生した APL において,転座切断部位でのトポイソメラーゼ II による切断を誘発した.PML 遺伝子および RARA 遺伝子における短い相同配列は,非相同末端結合経路を介して DNA の修復が起ったことを示唆した.

結 論

トポイソメラーゼ II による薬剤誘発性の DNA 切断は,ミトキサントロンに関連する APL および他のトポイソメラーゼ II 阻害薬による治療後に発症する APL において,染色体転座切断点の発生を仲介する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 1529 - 38. )