左室機能不全,心不全,またはその両方を併発した心筋梗塞患者における突然死
Sudden Death in Patients with Myocardial Infarction and Left Ventricular Dysfunction, Heart Failure, or Both
S.D. Solomon and Others
心臓突然死のリスクは,左室収縮機能の低下を伴う急性心筋梗塞の生存者で増大する.心筋梗塞後の高リスク患者において,突然死のリスクおよび時間経過を評価した.
心筋梗塞を起し,左室機能不全,心不全,またはその両方を併発した患者 14,609 例を対象に検討を行い,予期せぬ突然死または蘇生した心停止について,発生率および発生時期を左室駆出率との関連で評価した.
14,609 例中 1,067 例(7%)で,心筋梗塞の 180 日後(中央値)にイベントがみられた.うち 903 例は突然死を起し,164 例は心停止後に蘇生した.リスクは心筋梗塞後 30 日間がもっとも高く,1 ヵ月に 1.4%であったが(95%信頼区間 1.2~1.6%),2 年後には 1 ヵ月に 0.14%に低下した(95%信頼区間 0.11~0.18%).発症後すぐの段階では,左室駆出率が 30%以下の患者でリスクがもっとも高かった(発生率,1 ヵ月に 2.3%;95%信頼区間 1.8~2.8%).突然死および蘇生した心停止の全エピソードのうち,19%が心筋梗塞後 30 日以内に発生し,突然死した全患者のうち 83%は退院後 30 日以内に死亡した.左室駆出率が 5 パーセントポイント低下するごとに,発生後 30 日以内の突然死または蘇生した心停止のリスクが補正後 21%上昇した.
左室機能不全,心不全,またはその両方を併発した患者では,突然死のリスクは心筋梗塞後 30 日間がもっとも高かった.したがって,突然死の予防策をより早期に実施することは,一部の患者では妥当であると考えられる.